精神病性障害(サイコーシス )を発病するリスクがある人々への早期介入

レビューの論点

精神病性障害(サイコーシス )を発病するリスクがある人々への介入が効果的であることを示す高い質のエビデンスは存在するのか?

背景

精神病性障害(サイコーシス )とは、現実との接点を失うことを特徴とする深刻な精神状態である。精神病性障害(サイコーシス )の最初の明確なエピソードには、最低6ヶ月間の「前駆」期間が先行する。この期間で患者は思考や知覚、行動や精神機能において段階的非特異的な変化を体験する。患者は変化を体験しているが、妄想(固執した誤った思い込み)や幻覚(実存しない知覚)のようなより明らかな精神病症状を一般的にはまだ体験し始めていない。世界中で開発された薬物療法、心理療法、そして社会心理学的治療法を組み合わせた治療的アプローチに関する多くの治療サービスは、現在この前駆期間の治療によって発症リスクのある人々の精神病性障害(サイコーシス )を防ぐことに焦点を当てている。このレビューでは、非感情性精神病性障害とはまだ診断されていないが前駆段階にある人々に対する様々な治療的アプローチの効果に関する利用可能なエビデンスを評価する。

エビデンスの検索

2016年6月8日と2017年8月4日に、精神病性障害の発症を防ぐため発症リスクがある人々を様々な治療を受けるよう無作為に割り振った臨床研究を見つけるために、コクランの統合失調症に特化した研究登録集の電子的検索を行った。

特定されたエビデンス

このレビューでは2,151名の参加者を含む20件の研究を含めた。これらの研究は幅広い治療法を分析していた。このレビューにおけるすべての知見は、最もよくても質の低いエビデンスであった。精神病性障害(サイコーシス)を発症する危険がある人々がオメガ-3脂肪酸を摂取することで精神病性障害(サイコーシス)への移行を防ぐことができるかもしれないことが1つの小規模の研究から示唆された。他の研究では、一連の支持療法に抗精神病薬を追加しても精神病性障害(サイコーシス)への移行の点では効果的ではないことが示唆された。[認知行動療法(CBT)+支持療法]と[支持療法のみ]を比較した場合、[CBT+支持療法]に割り当てられた参加者のうち約8%が18ヶ月間の追跡期間に精神病性障害(サイコーシス)へ移行した。これは[支持療法のみ]の参加者に比較して1/2の割合であった。この結果は重要なものかもしれないが、データの質は非常に低いものである。CBTとその他の治療のすべての研究では、精神病性障害(サイコーシス)への移行に対する治療法として明らかな違いは見られなかった。

結論

統合失調症の最初のエピソードを防ぐための治療アプローチを検証するために莫大な労力と費用が投じられてきた。現在では、オメガ-3脂肪酸が効果があるかも知れないという低い質のエビデンスが存在する。しかし、いかなる治療法も効果的であることを示す高い質のエビデンスは存在せず、確実な結論を出すことはできない。

訳注: 

《実施組織》 岩見謙太朗 翻訳、星進悦 監訳 [2020.04.19]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
《CD012236.pub2》

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