敗血症と敗血症性ショックに対する様々な輸液療法

レビューの論点

新規の輸液療法(初期の急速輸液療法+従来の輸液療法)が重度敗血症または敗血症性ショックの成人および小児に対する従来の輸液療法と比較して、より有益または有害な効果をもたらすかどうかを調査することを目的とした。主に、これら2つの介入が死亡および有害事象発生のリスクに及ぼす影響の違いを評価した。

背景

敗血症と敗血症性ショックは、感染症の合併症である。集中治療室(ICU)の患者は、他の患者よりもこの状態に陥りやすい。一旦罹患すると、患者は臓器不全となり、場合によっては死に至る可能性がある。輸液療法は、成人および小児における敗血症の初期治療における重要な介入としてしばしば使用される。

結果

電子データベースの最終検索日は2018年1月16日であった。 選択基準に合致した成人の臨床試験は同定されなかった。小児3402例を含めた3件の試験を対象とした。まだ公表されていない3つの「進行中の」試験を同定した。2つの試験(3288人の子供を含む)をプールした結果は、新規の輸液療法が入院中の死亡リスクを38%増加させ、4週間のフォローアップで死亡するリスクを39%増加させる可能性があることを示した。これは、輸液療法を受けている子供のうち、従来の輸液療法群よりも新規の輸液療法群で院内死亡が34人ごとに1人多くなることを意味する。同様に、4週間のフォローアップでは、輸液療法を受けている子供のうち、従来の輸液療法群よりも、新規の輸液療法群で29人ごとに1人死亡が多くなることを意味する。一つの小規模な研究では、入院中の死亡のリスクに関しては結論が出なかったと報告されている。新規の輸液療法を受けている患者と従来の輸液療法を受けている患者との間で有害事象(肝腫大、人工換気の必要性、アレルギー反応、神経学的後遺症など)に差があるかどうかは不明である。

1つの試験(101人の子供を含む)は、従来の輸液療法によって集中治療室の滞在期間と人工換気を行う期間を短縮することができると報告した。しかし、サンプルサイズが小さいため、この結果はほとんど確実性がない。敗血症や敗血症性ショックの成人を検討する研究は同定することができなかった。

結論

新規の輸液療法が敗血症または敗血症性ショックを有する小児の死亡率を増加させる可能性があることを示した結果のエビデンスは質の低いものから高いものまであった。この結果以外では、新規対従来の輸液療法による有害事象のリスクに及ぼす効果については不明である。敗血症または敗血症性ショックを有する成人に対するこれら2つの介入の影響についてもデータ不足のため不明である。より広い範囲の病原体による異なる状況での成人敗血症または敗血症性ショックに焦点を当てた将来の試験が期待される。今回同定された3つの「進行中の」研究が出版され評価されると、このレビューの結論を変える可能性がある。

訳注: 

《実施組織》 山本依志子 翻訳、井村春樹 監訳 [2020.02.13]
《注意》 この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
《CD010593.pub2》

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