上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性の進行非扁平上皮非小細胞肺がんに対する一次治療

背景

肺がんは、世界的に最も多いがんのひとつである。診断された時には既にがんが広がっていることも多い。そのような場合、通常は手術適応とはならず、薬物治療、一般的には化学療法の実施が必要である。肺がんの中で最も多いのは非小細胞肺がん(NSCLC)である。非小細胞肺がん患者の約10%から15%は上皮成長因子受容体変異(EGFR)陽性という特定の種類のがんであり、このがんでは、がん細胞にある、腫瘍の増殖をコントロールする遺伝子に特異的な変化がみられる。本レビューでは、EGFR陽性非小細胞肺がんを標的とする新しい治療薬の効果を検討した。

目的

本レビューでは、EGFR陽性非小細胞肺がんを標的とする治療を受けた患者では、標準化学療法を受けた患者と比較して、生存期間および健康関連の生活の質(QOL)が優れているかについて検討した。

試験の特性

EGFRを標的とする薬剤5剤、つまりエルロチニブ、ゲフィチニブ、アファチニブ、icotinib(イコチニブ)、抗体薬セツキシマブを用いて、標準化学療法と比較した臨床試験22件が検索の結果見つかった。2020年7月27日までに結果報告された臨床試験をレビューの対象とした。

結果

エルロチニブ、ゲフィチニブ、アファチニブまたはイコチニブを投与された患者は、標準化学療法を受けた患者よりも、がんが進行するまでの時間が長く、副作用の発現も少なかった。しかし、エルロチニブ、アファチニブまたはイコチニブを投与された患者では、標準化学療法を受けた患者以上に生存期間が延長するかどうかは定かではなかった。

結論

エルロチニブ、ゲフィチニブ、アファチニブおよびイコチニブはEGFR陽性肺がんの広がりを抑え、健康関連QOLを改善する。セツキシマブと化学療法を併用しても、化学療法単独と比較して、EGFR陽性肺がんの病勢制御や生存期間の延長のいずれについても改善をもたらさない。

訳注: 

《実施組織》一般社団法人 日本がん医療翻訳アソシエイツ(JAMT:ジャムティ)『海外がん医療情報リファレンス』(https://www.cancerit.jp/)武内優子、ギボンズ京子 翻訳、田中文啓(産業医科大学第二外科呼吸器外科)監訳 [2021.04.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクラン・ジャパンまでご連絡ください。 なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review、Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。《CD010383.pub3》

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