慢性痛風のための栄養補助食品

痛風とは、健康補助食品とは?

痛風は、血液中の尿酸値が高いために、関節に結晶が形成されることによって起こる。痛風は、関節(しばしば外反母趾)の痛み、腫れ、熱感の発作を引き起こす。人によっては、痛風結節と呼ばれる、皮膚直下に大きな結晶の塊ができることがある。血液中の尿酸値が長期間にわたって正常に戻り、結晶沈着物が溶解されれば治癒する。

栄養補助食品は、ビタミン、必須ミネラル、プロバイオティクス(身体に良い影響を与える微生物)などの製剤である。その効果を評価する研究はほとんどなく、有害な副作用を評価する研究もほとんどない。

研究の特徴

本レビューは、2014年に出版された元論文(オリジナルレビュー)のアップデート版である。2020年8月までの医学文献を検索した結果、今回、新たな研究は見つからなかった。元論文から2件の研究を残した。

1件目の研究(120人の参加者)では、痛風発作の頻度を減らそうと、濃縮スキムミルクパウダー(おそらく抗炎症作用があると考えられるペプチド入り)と標準スキムミルク、および乳糖(ラクトース)パウダーを比較した。2件目の研究(40人の参加者)では、ビタミンCとアロプリノール(血中の尿酸値を下げる目的で痛風患者によく使用される薬剤)を比較した。両試験とも、主に中年男性で痛風患者を対象としたものである。スキムミルクの研究では、参加者は頻繁に発作を起こし、20%から43%が通風結節を呈していたことから、重度の痛風であると思われる。ビタミンCの研究参加者は、一般に痛風を持つ人と同様な参加者のようだった。

主な結果 - 濃縮スキムミルクを飲むと痛風の人はどうなるか?

痛風発作

濃縮スキムミルクを3ヶ月間飲んだ人は、1ヶ月あたりの痛風発作が0.21回減少し、1年あたりの痛風発作が2.5回減少した。

- 濃縮スキムミルクを飲んだ人は、1ヶ月あたり0.49回の痛風発作(1年では6回の痛風発作)を起こしていた。

- 普通のスキムミルクや乳糖を飲んだ人は、1ヶ月あたり0.70回の痛風発作(1年では8回の痛風発作)を起こしていた。

有害事象による中止

濃縮スキムミルクを飲んだ100人中、3ヶ月までに摂取を中止した人は4人多かった(中止割合は4%増加)。

- 100人中18人が濃縮スキムミルクを飲まなくなった。

- 100人中14人が普通のスキムミルクや乳糖を飲まなくなった。

有害事象の発生件数

濃縮スキムミルクを3ヶ月間飲んだ人は有害事象が少なかった(有害事象は1%減少)。

- 濃縮スキムミルクを飲んだ100人中47人に有害事象が発生した。

- 普通のスキムミルクや乳糖を飲んだ100人中48人に有害事象が発生した。

血清尿酸値、関節の痛み、参加者による総合的な評価への影響は不明だった。なお、痛風結節の消失に対する効果は測定されていなかった。

主な結果 - ビタミンCを飲むと痛風の人はどうなるか?

血清尿酸値

- ビタミンCを摂取した人は、8週間後に0.014 mmol/Lの血清尿酸値が減少した(2.8%の減少)。

- アロプリノールを服用した人は、8週間後に0.118 mmol/Lの血清尿酸値の減少を示した(23.6%の減少)。

いずれの治療群においても、副作用や副作用による中止の報告はなかった。

痛風発作、痛みの軽減、参加者による総合評価、痛風結節の消失に対するビタミンCの効果は測定されていなかった。

エビデンス(科学的根拠)の質

全体として、両試験ともエビデンスの質は低かった。試験の実施と報告が不十分で、サンプルサイズが小さく、ほとんどのアウトカムで有益性と有害性の両方が示唆されたため、エビデンスの質を下げた。あるエビデンスの質が低い研究では、濃縮スキムミルクは標準的なスキムミルクや乳糖(ラクトース)パウダーと比較して、痛風発作の頻度や尿酸値を改善しないかもしれないが、痛みを減らすかもしれないことを示していた。今後の研究により、これらの評価は変化する可能性がある。副作用や合併症に関する正確な情報はないが、起こりうる副作用として、吐き気、腹部膨満感、下痢などが考えられる。

あるエビデンスの質が低い研究によると、一般的に使用されているアロプリノールと比較して、ビタミンCは血清尿酸値をあまり低下させないことが示された。しかし、この差はおそらく臨床的には重要なものではない。ビタミンCがもたらすと考えられるその他の効果については、この試験で評価されていないため、不明である。また、副作用は報告されなかった。 今後の研究により、これらの評価は変化する可能性がある。

訳注: 

《実施組織》 榛葉有希、伊東真沙美 翻訳[2022.7.19]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD010156.pub3》

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