輸血依存性βサラセミア患者に対する造血幹細胞移植

レビューの論点

輸血依存性βサラセミア患者に対して、様々な種類の幹細胞移植が安全かつ有効であるかどうかを検討した。

背景

サラセミアは、αまたはβグロビン遺伝子に変異が生じ、ヘモグロビン(赤血球に含まれる酸素運搬タンパク質)の産生が低下し、赤血球の破壊が進むことで発症する疾患である。ヘモグロビンの産生が減少し、赤血球が破壊されることにより、貧血を引き起こし、罹患者は重大な疾病に罹患する。貧血は定期的な輸血によって効果的に治療できるが、輸血を繰り返すと体内に鉄が蓄積され、鉄キレート療法を行わない限り、心臓や肺などの多臓器疾患を引き起こす可能性がある。これらの毒性は時間とともに蓄積される傾向にあり、生活の質(QOL)の低下や早期の死亡につながる。また、輸血で治るわけではない。造血幹細胞移植は、不健康な造血幹細胞を健康なドナーからの正常な造血幹細胞と置き換える方法(同種造血幹細胞移植)と、レシピエント自身の細胞を遺伝的に修正して再び患者に戻す方法(自家遺伝子治療)がある。この幹細胞は、正常なグロビン鎖を持つ正常な赤血球を作り出し、貧血を改善する。

検索期間

このレビューにおけるエビデンスは、2021年4月7日現在のものである。

主な結果

輸血依存性βサラセミア患者における様々な種類の造血幹細胞移植の有効性と安全性を評価したランダム化比較試験を見つけられなかった。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、小林絵里子 翻訳[2022.06.099]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD008708.pub5》

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