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喘息の成人や小児に対する発作治療薬としてのフォルモテロールと短時間作用型β刺激薬の比較

背景

フォルモテロールは長時間作用型β2刺激薬であるが、作用発現が迅速であるため、発作治療薬としても用いることができる。

目的

喘息のある成人や小児でのフォルモテロールの発作治療薬としての有効性と安全性を短時間作用型β2刺激薬と比較評価する。

検索戦略

Cochrane Airways Group Specialised Register、および、臨床試験登録のウェブサイト(未発表データを同定するため)を検索し、フォルモテロールに関する米国食品医薬品局(FDA)申請をチェックした。最新検索日は2010年2月であった。

選択基準

あらゆる年齢、あらゆる重症度の喘息の患者を対象とした、期間12週間以上のランダム化並行群試験。複数の研究が患者をなんらかの用量のフォルモテロールと短時間作用型β2刺激薬の必要時使用にランダム化した。吸入コルチコステロイドまたは他の維持薬の併用は、これがランダム化治療レジメンの一部でない限り可能とした。

データ収集と分析

2名のレビューアが独自に試験を本レビューへの組み入れに適格かどうか選択した。アウトカムデータを1名のレビューアが抽出し、2人目のレビューアがチェックした。主要アウトカムに関する未発表データを探索した。

主な結果

本レビューでは主に成人からなる22,604例を対象に実施された8件の研究を選択した。6件の研究はフォルモテロールの要時使用とテルブタリンを比較し、2件の研究はフォルモテロールとサルブタモールの要時使用を比較した。背景の維持療法は試験間で異なった。喘息増悪および重篤な有害事象に対する治療効果はフォルモテロールに有利な方向を示し、そのうち1つのアウトカムが統計学的有意に達した(経口コルチコステロイド短期投与を必要とする増悪)。30週間を越えて経口コルチコステロイドを必要とする増悪を生じたのは短時間作用型β2刺激薬群で1000人中117人であったのに対して、フォルモテロール要時使用群では1000人中101人(95%CI 93~108)であった。吸入コルチコステロイドで維持されていた患者の間でも、経口コルチコステロイド短期投与を必要とする増悪は、フォルモテロール要時使用群で有意に少なかった(Peto OR 0.75;95%CI 0.62~0.91)。フォルモテロール群あるいは短時間作用型β2刺激薬群において1000人あたり1例の死亡を認めた。

著者の結論

成人において、発作治療薬として用いられる場合、フォルモテロールは短時間作用型β2刺激薬とほぼ同じであり、経口コルチコステロイド短期投与を必要とする増悪の回数の減少を認めた。フォルモテロールの要時使用の利益は単剤吸入療法の利益と比較して相対的に軽微であること、また一部の患者において長時間作用型β2刺激薬の長期使用が危険である可能性を臨床医は考慮すべきである。長時間作用型β2刺激薬の投与は吸入コルチコステロイド使用中の患者のみに限定するべき、とガイドラインの変更を推奨するエビデンスは見いだされなかった。

訳注

Translated by: MINDS

Translation supported by:

Citation
Welsh EJ, Cates CJ. Formoterol versus short-acting beta-agonists as relief medication for adults and children with asthma. Cochrane Database of Systematic Reviews 2010, Issue 9. Art. No.: CD008418. DOI: 10.1002/14651858.CD008418.pub2.