婦人科癌治療の集約化

著者の結論: 

質は低かったものの、専門施設で治療を受けた婦人科癌患者の方が、そうでない施設で治療をうけた患者より生存期間が長いことを示唆する、一致したエビデンスが認められた。エビデンスは他の婦人科癌より卵巣癌の方が強かった。

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背景: 

婦人科癌は女性において2番目に多い癌である。集約的治療によりアウトカムが改善されることが示唆されているが、コンセンサスは得られていない。

目的: 

婦人科癌患者に対する集約的治療の有効性を評価すること。

検索戦略: 

Cochrane Gynaecological Cancer Group Trials Register、CENTRAL(コクラン・ライブラリ、2010年第4号)、MEDLINEおよびEMBASE (2010年11月まで)を検索した。また、臨床試験登録、学会抄録および関連する研究の参考文献リストも検索した。

選択基準: 

婦人科癌に対する医療の集約化を評価したランダム化比較試験(RCT)、準ランダム化比較試験、前後比較研究、中断時系列デザインによる研究および観察研究。ベースライン時の患者構成を調整するために多変量解析を利用した。

データ収集と分析: 

レビューア3名が独立してデータを抽出し、2名がバイアスのリスクを評価した。可能な場合はメタアナリシスにより、生存に関するデータを統合した。

主な結果: 

5件の研究が選択基準に適合した。いずれも後ろ向きの観察研究であったため、バイアスリスクが高かった。 9,000例を超える女性を評価した3件の研究のメタアナリシスから、施設内に婦人科癌専門医がいる医療機関は地域病院または一般病院と比較して、卵巣癌患者の生存期間が延長するようであろうと示唆された。すなわち死亡のハザード比(HR)は0.90[95%信頼区間(CI)0.82~0.99]であった。同様に、50,000例を超える女性を評価した3件の研究の別のメタアナリシスでは、教育病院または地域の癌センターの方が地域病院または一般病院より、あらゆる婦人科癌患者の生存期間が延長するであろうということが明らかにされた[HR 0.91、95%CI 0.84~0.99]。これらの研究のうち最大のものはあらゆる婦人科悪性腫瘍を含めた女性48,981例を評価したものであり、そのため得られた結果も卵巣癌以外が含まれることとなった。1件の研究は婦人科の準専門医がいる地域病院と一般病院を比較したものであり、卵巣癌患者の疾患特異的な生存率に有意なものではないが改善がみられたと報告した(HR 0.89、95%CI 0.78~1.01)。選択した研究で得られた結果はきわめて良い一致を示した。有害事象のデータを報告した研究はなかった。

訳注: 

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