早期、進行、再発悪性胚細胞性卵巣癌成人患者における化学療法

著者の結論: 

悪性胚細胞性卵巣腫瘍での化学療法の使用に関する質の低いエビデンスしか認められなかった。したがって、疾患病期にかかわらず本疾患での化学療法の使用に関連する利益および有害性について明確な結論に到達できなかった。精巣の胚細胞性癌における化学療法の利益のため、最良の支持ケアに対する化学療法の試験を実施する可能性は低い。それにもかかわらず、化学療法(化学療法の種類、治療期間、利益、短期および長期の毒性)の役割を確証するため、質の良いランダム化研究が本疾患で必要である。本疾患の稀少さを考慮して、そのような試験を実施するためには、世界規模のアプローチが必須であろう。

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背景: 

悪性胚細胞性卵巣腫瘍は世界的に0.07%に上る女性に発症する。その稀少性から、治療エビデンスは欠如しており、しばしば胚細胞性精巣癌の臨床試験結果を外挿される。成人集団でのその発症が、小児集団での発症に比較してもさらに低いという事実によって、この稀な腫瘍に関する研究はさらに困難となっている。現在、悪性胚細胞性卵巣腫瘍での病期にかかわらず、化学療法の有効性はまったく不明である。

目的: 

早期、進行、再発悪性胚細胞性卵巣癌成人患者における化学療法の有効性および安全性を評価すること。

検索戦略: 

Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL 2010年、Issue 1)、Cochrane Gynaecological Cancer Group Trials Register、MEDLINE、EMBASEを2010年4月まで検索した。また臨床試験登録、学術会議の抄録、選択した研究の参照文献リストを検索した。

選択基準: 

病理学的診断で確認された、胚細胞性卵巣癌と診断された成人女性を対象に全身性療法を比較したランダム化比較試験(RCT)、準RCT、非ランダム化研究を検索した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが関連する可能性のある研究が選択基準を満たしているか、データを抽出しているか、バイアスリスクを評価しているかを別々に評価した。

主な結果: 

1件のRCTと1件の後ろ向き研究が選択基準に合致した。これらの研究からのデータは乏しく、悪性胚細胞性卵巣癌の治療におけるアジュバント化学療法の有効性および安全性を適切に評価できなかった。すべての比較は単一の研究解析に限られており、本レビューは32例の女性にのみ基づいていたことから、生存での差を検出する適切な検出力ではなかった。治療の有害作用および無再発生存の記載は不完全で、どの研究にもQOLの報告がなかった。成人に限定した報告の研究がなかったので、関連する可能性のある多数の研究において成人と小児のデータ分別に問題がみられた。

訳注: 

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