合併症のない開腹胆嚢摘出術に対するルーチンの腹腔ドレナージ

著者の結論: 

開腹胆嚢摘出術を施行した患者について、ドレインを用いることは患者に対する有害性を増加させ、追加の利益は何らみられない。開腹胆嚢摘出術においてはドレイン使用を避けるべきである。

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背景: 

胆嚢摘出術は胆嚢の摘出であり、主に症候性胆石に対して施行される。現在、選択的胆嚢摘出術については開腹胆嚢摘出術よりも腹腔鏡下胆嚢摘除の方が好まれているが、急性胆嚢炎において胆嚢摘出術(開腹または腹腔鏡下)の選択を比較したランダム化臨床試験の報告が依然として行われている。開腹胆嚢摘出術におけるドレナージは、かなり議論の的となっている問題である。外科医は主に肝下膿瘍または排液されていない胆汁漏出による胆汁性腹膜炎を予防するためにドレインを用いる。ドレインの批判者はドレインにより創傷感染および胸部感染が増加するとしている。

目的: 

合併症のない開腹胆嚢摘出術におけるルーチンの腹腔ドレナージの利益および有害性を評価する。

検索戦略: 

2006年4月までのCochrane Hepato-Biliary Group Controlled Trials Register、コクラン・ライブラリ中のCochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINE、EMBASE、およびScience Citation Index Expandedを検索した。

選択基準: 

合併症のない開腹胆嚢摘出術を施行した患者において「ドレイン無し」と「ドレイン有り」を比較したランダム化臨床試験を(言語、発表状態およびドレインの種類に関わりなく)採択した。あるドレインを別のドレインと比較したランダム化臨床試験も採択した。

データ収集と分析: 

各試験の特性および方法論的質、各試験から各種治療を必要とした腹腔内貯留の回数、胆汁性腹膜炎、創傷感染、胸部合併症および入院期間に関するデータを収集した。RevMan解析を用いた固定効果モデルおよびランダム効果モデルの両モデルによりデータを解析した。各アウトカムについて、ITT解析に基づいてオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。

主な結果: 

3659例の患者を組み入れた28件の試験を採択した。「ドレイン無し」と「ドレイン有り」との比較が20件、あるドレインと別のドレインとの比較が12件あった。死亡率、胆汁性腹膜炎、腹腔内貯留液の総量、各種治療を必要とした腹腔内貯留、腹腔内貯留液の感染について、統計学的に有意差はなかった。「ドレイン無し」群では「ドレイン有り」群と比較して、創傷感染が統計学的に有意に少なく(OR0.61、95%CI0.43から0.87)、胸部感染症も統計学的に有意に少なかった(OR0.59、95%CI0.42から0.84)。種類の異なるドレイン間では有意差を認めなかった。

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