子癇前症とその合併症の予防のための食塩摂取量の変更

妊娠中の塩分摂取量が少ないことは、子癇前症の予防にはつながらないと考えられる。

子癇前症は重篤な妊娠合併症で、母親と胎児の健康不良を引き起こし、死亡することさえある。子癇前症は、妊娠後期での血圧上昇や尿蛋白によって確定する。以前は、減塩食が子癇前症症の予防に役立つと考えられ、しばしば推奨された。しかし、本レビューで見出した試験は2件のみで、母親や胎児の利益を示すエビデンスはなかった。妊娠中の塩分摂取は個人の好みの問題とすべきである。

著者の結論: 

妊娠中に塩分摂取量を変更する推奨が、子癇前症の予防や他のアウトカムに対して有益な効果をもたらすことを示すエビデンスがない以上、妊娠中の塩分摂取は個人の好みの問題とすべきである。

(注:本レビューの分類待機項目の引用により、一度評価された結論が変更する場合がある。)

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背景: 

以前、女性には、塩分摂取量を減らすことは子癇前症の発症リスクを低下させる可能性があると推奨されていた。この習慣はほぼ終わったが、妊娠中に塩分摂取量を変更する影響について、エビデンスを評価することは依然として重要である。

目的: 

本レビューの目的は、妊娠中の塩分摂取量の変更が子癇前症やその合併症の発症リスクに与える影響を評価することである。

検索戦略: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2005年4月8日)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(コクラン・ライブラリ、2005年第1号)、およびEMBASE(2002年 ~ 2005年5月)を検索した。Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Registerの調査を2009年10月1日に更新し、結果を分類待機項目に加えた。

選択基準: 

妊娠中の塩分摂取量の増減を評価したランダム化試験。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者がそれぞれ試験を選択し、データを抽出した。データを解析するためReview Managerソフトウェアに入力し、正確性を二重確認した。

主な結果: 

603例の女性を対象とした2件の試験を選択した。2件とも塩分摂取量を減らす推奨と通常食を継続する推奨を比較した。報告されたすべてのアウトカムで信頼区間が広く、影響なしのラインを超えた。子癇前症:相対リスク 1.11、95% 信頼区間 0.46 ~ 2.66。すなわち、塩分摂取量を減らす推奨の効果について、信頼できる結論を示すにはエビデンスが不十分であった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.2.27]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
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