急性脳卒中に対するナフチドロフリル

著者の結論: 

急性虚血性発作または出血性発作の治療におけるナフチドロフリル使用を支持するのに十分なエビデンスはない。

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背景: 

脳卒中は西側諸国において死亡原因の第3位であり、能力障害の最も一般的な原因である。脳卒中により引き起こされる脳障害の影響を抑える薬剤の開発が続けられているが、現在のところルーチンに有効な治療は同定されていない。ナフチドロフリルは幾つかの研究において急性脳卒中の治療に有益であると報告されているが、エビデンスのすべてがこの所見を支持しているかどうかは不明である。

目的: 

脳卒中急性期におけるナフチドロフリルの効果を評価する。

検索戦略: 

Cochrane Stroke Group Trials Register(最終検索日2006年11月);Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)、Cochrane Database of Systematic ReviewsおよびDatabase of Abstracts of Reviews of Effects(コクラン・ライブラリ2006年第2号);MEDLINE(1966年~2006年7月まで);EMBASE(1980年~2006年7月まで); Science Citation Index(1981年~2006年7月まで);National Research Register(2006年7月);LILACS Database(1982年~2006年7月まで);metaRegister of Controlled Trials (mRCT)(2006年7月)SUMsearch(2006年7月)を検索した。さらに発表済、未発表および進行中の研究を同定するために、参考文献リストを調べ、学会の論文集をハンドサーチし、製薬会社および関連する論文の著者に問い合わせた。

選択基準: 

コンピュータ断層撮影法(CT)を用いてまたは用いないで、医師によって急性虚血性または出血性脳卒中と臨床診断された患者を含めた。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが対象とする試験を選択し、独立して試験の質を評価し、データ抽出フォームを用いてデータを抽出、または可能であれば個々の患者データを再解析した。

主な結果: 

参加者1274例を含む6件の試験があった。プラセボと比較し、ナフチドロフリルには、死亡率(統合オッズ比(OR)1.03、95%信頼区間(CI)0.78~1.36、6件の試験)あるいは死亡または要介護/能力障害の複合(統合OR0.94、95% CI0.70~1.16、3件の試験)のリスク低下において有意な利益はないことが分かった。統合した結果により、ナフチドロフリルには収縮期血圧、拡張期血圧、平均動脈血圧に及ぼす有意な効果がないことが示された。早期死亡や悪化のリスク、生活の質、脳卒中再発、退院先に及ぼすナフチドロフリルの影響を報告した試験はなかった。しかし、ナフチドロフリル投与患者では軽度の有害事象のリスクが増加する傾向があることが分かった(OR1.99、95% CI0.96~4.11、P=0.06)。

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