出産後の子宮けいれんや子宮復古による痛み(後陣痛)の緩和

このレビューのアップデート版では、経腟分娩後の子宮収縮痛(後陣痛)がある女性を対象に、薬剤と非薬剤による疼痛緩和の有効性と安全性を調査した。ランダム化比較試験において、疼痛緩和のための薬剤投与と、不活性プラセボ、無治療、または異なるタイプの薬剤投与とを比較した。

論点

女性は、子宮が収縮して妊娠前の通常の大きさに戻るため、出産後にけいれん様の痛みや違和感(訳注:後陣痛)を感じることがある。これらの痛みは通常、出産後2~3日間続く。経産婦(以前に出産経験のある女性)は、産後の痛みをより感じやすいと言われている。授乳すると子宮の収縮を促し、痛みを増すことがある。

鎮痛のために用いられる治療には、パラセタモール(訳者注:アセトアミノフェン)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)であるイブプロフェンやナプロキセン、コデインを含むオピオイド、およびハーブ製剤や経皮的電気神経刺激(TENS)のような非薬物的な方法がある。

重要である理由

出産後の痛みの管理は、痛みが母親の日常生活に影響を与えるだけでなく、赤ちゃんとの愛着形成や赤ちゃんの世話をすることにも影響を与える可能性があるため、重要である。後陣痛は母乳育児の確立を妨げる可能性がある。

得られたエビデンス

ランダム化比較試験のエビデンスを検索し(2019年10月現在)、合併症のない単胎児出産後に入院していた2749人の母親を対象とした28件の研究を特定した。そのエビデンスのほとんどは、十分な数の女性が含まれていなかったため、確実性が低いものである。多くの研究では、母乳育児中の女性を除外している。そのため、より多くの女性に適用できるエビデンスとは言えない。新生児における有害事象に関するエビデンスを報告した研究はなかった。

NSAIDsは、母親自身の評価において十分な疼痛緩和が得られた点でプラセボ(ダミー治療)よりもおそらく優れており(11試験、946人の女性、中程度の確実性のエビデンス)、追加的な疼痛緩和の必要性を減らす可能性がある(4試験、375人の女性、低確実性のエビデンス)。母親の有害事象リスクについては、NSAIDsとプラセボの間にはほとんど差がないかもしれない(9試験、598名の女性、確実性の低いエビデンス)。

NSAIDsは、おそらくオピオイドよりも十分な鎮痛効果があり(5件の研究、560人の女性、中程度の確実性のエビデンス)、母親の有害事象のリスクを減少させる可能性がある(3件の研究、255人の女性、低確実性のエビデンス)。NSAIDsはオピオイドと比較して、追加の疼痛緩和の必要性をわずかに減少させる可能性がある(2件の研究、232人の女性、確実性の低いエビデンス)。

オピオイドは、十分な疼痛緩和(5件の研究、299人の女性、確実性の低いエビデンス)および追加的な疼痛緩和の必要性(3件の研究、273人の女性、確実性の低いエビデンス)に対してプラセボよりも優れているかもしれない。オピオイドはプラセボに比べて、母親の有害事象のリスクを高める可能性がある(3件の研究、188人の女性、確実性の低いエビデンス)。

非常に確実性の低いエビデンスでは、パラセタモールがプラセボよりも十分な疼痛緩和効果があるかどうか、追加の疼痛緩和の必要性、あるいは母体の有害事象のリスクがあるかどうかについて、確かな結論は導き出せない(2件の研究、123人の女性)。

また、パラセタモールとNSAIDsとの間に十分な疼痛緩和効果の違いがあるかどうか、あるいは母体の有害事象のリスクがあるかどうかについても不確かである(2件の研究、112名の女性、確実性の非常に低いエビデンス)。

非常に確実性の低いエビデンスは、NSAIDsがハーブによる鎮痛よりも疼痛緩和効果に優れているかどうか(4件の研究、394人の女性)、追加の疼痛緩和の必要性(1件の研究、90人の女性)、あるいは母体の有害事象のリスク(1件の研究、108人の女性)が不明であることを意味している。

非常に確実性の低いエビデンスによると、TENSとTENSなしの間に十分な疼痛緩和効果の違いがあるかどうかが不明であった(1件の研究、32名の女性)。

結果が意味すること

NSAIDsはプラセボよりも優れているかもしれないし、経腟分娩後の産後の痛みを和らげる点ではオピオイドよりも優れているかもしれない。エビデンスの質が低く、他の方法による疼痛緩和の有効性については不明である。今後の試験では、適切な数の女性を募集し、母乳育児中の女性を含めることで、より高い適用可能性を確保すべきである。また、経腟分娩後の出産後の痛みの経験を把握するために、出産後の女性を対象とした調査も含まれるかもしれない。

訳注: 

《実施組織》 小林絵里子、杉山伸子 翻訳[2021.03.12]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD004908.pub3》

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