双極性障害の再発の初期兆候を認識するための介入

双極性障害は、躁うつ病と呼ばれる、よく見られる 深刻な精神疾患であり、生涯有病率は1~2%と言われている。双極性障害は、躁と抑うつの2種類の反復を特徴とする。様々な効果的な治療法があるにもかかわらず、再発率は高く、それに伴う弊害が発生する。早期警告サインに関する介入は、躁および抑うつ症状の認識と自己管理の改善を目標とし、双極性障害を繰り返し再発する人々が再発の早期警告サインを認識し、有害な転帰を回避するための訓練を行う。このレビューでは、薬物療法や医療専門家との定期的な面談などの通常治療に加えて、早期警告サインの介入を行うと、再発までの期間や入院に関して有益であることが示された。通常治療のみと比較すると、早期警告サインの介入は18ヶ月の時点で機能改善をもたらしたが、これらのデータは十分ではなく、得られた知見は慎重に解釈されるべきである。早期警告サインの介入は、抑うつや躁の症状には効果がないようであったが、これらの知見はやはり、選択された可能性のある 、少数の寛解期の患者に基づいていた。なお、早期警告サインの介入 は他の心理的介入とともに使用されたことに注意する必要があり、有益な効果のうち早期警告サインの介入のみによるものがどの程度の割合を占めるかは完全には明らかになっていない。

訳注: 

《実施組織》 田村早織 翻訳, 五十嵐百花 監訳 [2022.10.04] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域・司法精神医療研究部(以下、NCNP精研地域部;cochranereview.ncnpcmhl@gmail.com)までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。NCNP精研地域部では最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD 004854.pub2》

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