硬膜外麻酔に伴う有害な分娩アウトカムを軽減させるための分娩後期の硬膜外麻酔の中止

著者の結論: 

分娩後期の硬膜外麻酔の中止が機械的分娩率を低下させるという仮説を裏付けるにはエビデンスが不十分である。分娩第2期における不十分な疼痛緩和率を上昇させることを示すエビデンスがある。硬膜外麻酔を中止させる診療は普及しており、機械的分娩率を低下させることは臨床的に重要と思われる。したがって、この効果が真なのか偶然によるものであるのかを明らかにし、安全性の点でより強固なエビデンスを提供するために、今回のレビューのために選択した研究よりも大規模な研究を実施することを推奨する。

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背景: 

硬膜外麻酔は分娩時に最も有効な疼痛の緩和を提供するが、機械的分娩リスクの増大など、いくつかの産科的な有害作用がある。多くのセンターでは、女性自身による押し出す能力を改善させるために、また機械的分娩率を低下させるために、分娩後期の硬膜外麻酔を中止している。

目的: 

以下におよぼす分娩後期の硬膜外麻酔の中止による効果を評価するi)機械的分娩率、その他の分娩アウトカム率、ii)疼痛緩和および分娩ケアに関する満足度。

検索戦略: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2007年10月)を検索した。

選択基準: 

分娩第1期に疼痛のために硬膜外麻酔を行った女性を対象に、分娩後期の硬膜外麻酔の中止を、出産まで同じ硬膜外麻酔プロトコルを継続した場合と比較していたランダム化比較試験。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが独自に研究の適格性、質を評価し、データを抽出した。カテゴリーデータについては相対リスク(RR)、連続データについては重み付け平均差を用いて解析した。

主な結果: 

6件の研究を同定し、うち5件(参加者462例)を選択した。これらのうち3件は質の高い研究であったが、その他の2件はプラセボを使用せず、ランダム化の方法が記載されていなかったため質が低いと判断した。研究はすべて、異なる硬膜外麻酔プロトコル(医薬品の種類、投与量、投与方法)を使用していた。全体的に、機械的分娩率の低下は統計学的に有意ではなく(23%に対して28%、RR 0.84、95%信頼区間(CI)0.61~1.15)、その他の分娩アウトカム率も統計学的に有意差がなかった。統計学的に有意であった唯一の結果は、硬膜外麻酔を中止した際に不十分な疼痛緩和が増えたことであった(22%に対して6%、RR 3.68、95% CI 1.99~6.80)。

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