分娩中の「胎児機能不全」に対する手術的管理と保存的管理との比較

分娩中の胎児機能不全を起こす因子の緩和が、帝王切開、鉗子分娩または吸引分娩の介入よりよいかを示すエビデンスはほとんどない。 分娩中に機能不全徴候(異常な心拍数や胎便排泄)を示す胎児は、出生後の合併症リスクが高い。女性の腹部から胎児を取り出す手術(帝王切開)や経腟分娩のための外科的機械を使用するなどの手術的管理が行われる。1件の研究(女性350名)のレビューでは、胎児周囲の羊水過少、母体の体位や鎮痛などの胎児機能不全を起こす因子の治療(保存的管理)に比べて、手術的管理の方が有用であるかを示すエビデンスはほとんどなかった。さらなる研究が必要である。

著者の結論: 

胎児機能不全疑いに対する、手術的管理と保存的管理との比較をしている現在の試験はなかった。現代の産科医療施設ではない状況において、胎便による羊水混濁のまたは胎児心拍数変動の発生による手術産施行の方針では、周産期死亡率の低下は示されなかった。

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背景: 

胎児機能不全が疑われる場合、通常急速遂娩が(しばしば手術により)実施される。手術による出産は、母児に有害となる可能性があることから、特に胎児機能不全と誤診されている場合は妥当であるとはいえない。診断が正しい場合でも、手術的管理と保存的管理のどちらがよいのかは不明である。

目的: 

本レビューの目的は、母体と周産期の罹病率に対する胎児機能不全の手術的管理の効果を評価することであった。

検索戦略: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2012年2月15日)を検索した。

選択基準: 

胎児機能不全疑いに対する、手術的管理(帝王切開または経腟急速遂娩)を保存的管理と比較しているランダム化試験。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが試験の質評価およびデータ抽出を実施した。

主な結果: 

女性350名の1件の研究を選択した。本試験は1959年に実施されていた。周産期死亡率に差はなかった(リスク比1.18、95%信頼区間0.56~2.48)。

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