成人の慢性神経障害性疼痛に対する低濃度カプサイシンの皮膚塗布

神経障害性疼痛は、けがや病気で神経が傷害を受けることによって引き起こされる。3カ月以上ほとんど絶え間なく続くような痛みは、慢性疼痛といわれる。低濃度(1%未満)カプサイシン外用薬(皮膚に塗る)が、神経障害性疼痛による痛みの軽減に有用である可能性は低い。カプサイシンは、局所にひりひりした感覚やずきずきした感覚を引き起こす皮膚刺激性が認められることが知られている。

著者の結論: 

神経障害性疼痛の治療に対する低濃度カプサイシンクリームの有効性に関する結論を導くにはデータが不十分であった。入手した情報から、低濃度カプサイシン外用薬はプラセボクリーム以上の有意な効果が認められないことが示唆された。研究の規模が小さくバイアスが存在する可能性があるため、臨床現場における低濃度カプサイシン外用薬の使用が有意義である可能性は低い。局所の皮膚刺激性は多くの場合軽度かつ一過性であったが、試験中止の原因となる場合があり、発現数は多かった。全身性の有害作用はまれであった。

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背景: 

カプサイシンの局所クリームは、神経障害性疼痛など様々な慢性疾患による疼痛の治療に用いられる。カプサイシンを皮膚に塗布した場合、有害刺激に対する感受性が高まり、次に感受性が低下し、反復塗布によって持続性脱感作を生じる。疼痛を伴う慢性神経障害の治療に対するカプサイシンの有効性および忍容性は不明である。これは、成人の慢性神経障害性疼痛に対してあらゆる用量および剤型のカプサイシン外用薬を対象とした前版レビューの改訂版である。初版のレビューは現在分割されており、本レビューでは低濃度(1%未満)カプサイシン製剤を1日数回数週間適用した研究のみを検討する。他方のレビューでは、高濃度カプサイシン単回投与を検討する。

目的: 

成人の慢性神経障害性疼痛を対象とした比較試験で得られた低濃度(1%未満)カプサイシン局所塗布の有効性および忍容性に関するエビデンスを評価すること。

検索戦略: 

Cochrane CENTRAL、MEDLINE、EMBASEおよびOxford Pain Relief Databaseを2012年7月まで検索した。

選択基準: 

神経障害性疼痛に対して低濃度(1%未満)カプサイシン外用薬を最低6週間以上適用した、ランダム化二重盲検プラセボ比較試験。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者が独立して試験の質および妥当性を評価し、データを抽出した。第6週以降に疼痛軽減(臨床的改善)が認められた参加者数および局所性皮膚反応が認められた参加者数に関する情報を抽出し、相対リスク(またはリスク比、RR)、治療必要数(NNT)および害必要数(NNH)の算出に用いた。疼痛軽減の定義の詳細および具体的な有害事象について調査した。

主な結果: 

本回の改訂では、低濃度カプサイシンに関する新たな研究は同定されなかった。1996年より前に発表された研究を組み入れた。6件の研究(参加者計389例)では、低用量(0.075%)カプサイシンクリームとプラセボクリームの定期的塗布を比較した。研究結果には、研究数や各研究の参加者数が少ないことに加えて対象とした疼痛の状態や報告された「臨床効果」の定義が異なることが原因と考えられる著しい異質性が認められた。好ましい主要アウトカムデータである50%以上の疼痛軽減が報告されたのは2件の研究のみであり、プール解析を実施するにはデータが不足していた。局所性皮膚反応はカプサイシン群で多く、通常は許容可能で、時間とともに軽快した。低用量反復塗布のNNHは2.5(95%信頼区間[CI]2.1〜3.1)であった。いずれの研究も質および妥当性の最低基準を満たしていたが、盲検化の維持に関する問題が解決されていない可能性があった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2016.1.10]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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