冠動脈性心疾患の管理における患者教育

この日本語訳は最新版ではない。 ここをクリックし最新の英語版をご覧ください。
著者の結論: 

教育を行った患者群では、全死因死亡率、心臓罹病率、血行再建率および入院率が対照群よりも低いことを裏づける強力なエビデンスが認められなかった。教育によってHRQofLが改善され、総医療費が抑えられることを示唆する若干のエビデンスが認められた。本レビューの所見は心臓リハビリテーションに運動や心理的介入だけでなく教育も含めるべきであるという現行ガイドラインを支持しているが、教育について今後さらに掘り下げた研究を行う必要がある。

アブストラクト全文を閲覧
背景: 

心臓リハビリテーション(CR)は複合的かつ多面的な介入法であり、教育、運動トレーニングおよび心理的支援という3つの中核的な治療手段で構成されている。冠動脈性心疾患(CHD)の患者に対する運動および心理学的介入がコクランシステマティック・レビューの検討対象とされているのに対し、心臓リハビリテーションの教育的要素の特異的影響度については、これまでに検討が行われていない。

目的: 

1. CHD患者を対象に、患者教育が死亡率、罹病率、健康関連QOL(HRQofL)および医療費に与える効果を評価する。 2. 患者教育の効果の研究レベル予測因子を探索する(個人介入とグループ介入の比較、指標となる心臓事象を基準とした適切な実施時期など)。

検索戦略: 

以下のデータベースを検索した:コクラン・ライブラリ(CENTRAL、CDSR、DARE、HTA、NHSEED)、MEDLINE(OVID)、EMBASE(OVID)、PsycINFO(EBSCOhost)およびCINAHL(EBSCOhost)。また、これまでのシステマティック・レビューと解析に組み入れた研究の参考文献リストも検索した。言語制限は適用しなかった。                  

選択基準: 

1.教育を主な介入目的とするランダム化比較試験(RCT)。 2.最低6ヵ月間の追跡期間を設けており、1990年以降に発表された研究。 3.CHDと診断された成人患者。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが研究を選択し、データを抽出した。既発表論文からは入手できない関連性のある情報を得るため、すべての著者に連絡を入れるよう努めた。二値変数については、各アウトカムのリスク比と95%信頼区間(CI)を求めた。連続変数については、各アウトカムの平均差と95%CIを算出した。

主な結果: 

CHD患者68,556例を組み入れ、6~60ヵ月の追跡期間を設けた13件のRCTを特定した。全体的にみて、解析対象とした研究の方法論の質は中等度~良好であった。教育「コース」は、2回の来院から4週間の滞在+11ヵ月間の追跡セッションまで幅があった。一般に、対照群には通常の医療が施されていた。教育が全死因死亡(リスク比(RR)0.79、95%CI 0.55~1.13)、心臓罹病率(心筋梗塞が続発するRR 0.63、95%CI 0.26~1.48、血行再建RR 0.58、95%CI 0.19~1.71)または入院(RR 0.83、95%CI 0.65~1.07)に与える効果を裏づける強いエビデンスは認められなかった。教育を行った場合に一部のHRQofLドメインスコアが上昇したが、ドメイン全体において優越性を示す一貫したエビデンスは認められなかった。さまざまな通貨と年度の研究が実施されており、医療費のやりくりを直接比較しているが、教育でその後の医療利用率が低下することにより、費用の節減につながることを示唆するエビデンスがある。 本レビューには十分な検出力が備わっていないため、教育がCHD患者の死亡率と罹病率に臨床上重要な効果を与えるという可能性は排除される。

訳注: 

監  訳: 澤村 匡史,2012.4.10

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

シェア/保存する