切除不能な大腸癌肝転移に対するフルオロピリミジンのHAI(肝動脈注入)と全身化学療法(SCT)との比較

著者の結論: 

現時点で得られたエビデンスから、切除不能なCRC肝転移のある患者の治療として、フルオロピリミジンをベースとするHAI単独療法の使用は臨床上でも治験上でも支持されていない。実際に、このHAIレジメンにより腫瘍に対する奏効率は高くなっているが、生存の優位性はフルオロピリミジン単独のSCTを上回っているとはいえない。

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背景: 

肝動脈注入(HAI)などの局所領域の治療は、全身化学療法(SCT)と比較して転移臓器に高用量の抗癌剤を直接送達できる利点があるといわれているが、総生存期間(OS)についての利益は明らかでない。本レビューでは、切除不能な大腸癌(CRC)肝転移の治療としてHAIをSCTと比較しているランダム化比較試験(RCT)の結果を定量的に検討した。

目的: 

本レビューの目的は、切除不能なCRC肝転移の治療としてHAIをSCTと比較しているRCTの結果を定量的に検討することである。

検索戦略: 

MEDLINE、Embase、Cancerlit、Cochrane、GoogleScholarの電子データベースのほか、臨床試験に関する情報を集めたその他のデータバンクを検索して、切除不能なCRC肝転移の治療としてHAIをSCTと比較しているRCTの結果に関して2011年1月までに発表された報告のシステマティック・レビューを実施した。

選択基準: 

選択基準は、HAIをSCTと比較しているRCTに登録された切除不能なCRC肝転移の患者とした。アウトカム指標は腫瘍に対する奏効率と総生存期間であった。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に試験を選択し、方法論的な質を評価した。第3のレビューアがシステマティックなバイアスの可能性を解明するためにコンコーダンス分析を実施した。

主な結果: 

適格基準に合致したRCTが10件同定された。HAIレジメンは、8件のRCTではフロクスウリジン(FUDR)、5-フルオロウラシルであり、 1件のRCTではこれら2種類のフルオロピリミジンのいずれか1種類であった。3件のRCTではFUDRによるSCT、7件のRCTでは5-フルオロウラシルによるSCTを実施していた。要約データを統合した結果、腫瘍に対する奏効率はHAIで42.9%、SCTで18.4%であった(RR=2.26、95%CI 1.80~2.84、P<0.0001)。OSの平均重み付け中央値はHAIで15.9カ月、SCTで12.4カ月であった。死亡のメタリスクに2治療群の間で統計学的な差はなかった(HR=0.90、95%CI 0.76~1.07、P=0.24)。

訳注: 

監  訳: 柴田 実,2011.10.4

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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