分娩第3期の積極的、待機的、または混合の管理による胎盤娩出

背景

児が誕生したのち、子宮の収縮はつづき、それにより自然に子宮の壁から胎盤が剥離する。そして、胎盤が娩出される。いわゆる「後産」である。これは分娩第3期の待機的管理と言われる。分娩第3期の積極的管理には、3つの要素が含まれている。1)子宮収縮を促すための薬剤(子宮収縮薬)投与; 2)臍帯の拍動停止前に行う、早期の臍帯結紮(通常は子宮収縮薬の投与前、同時または直後に実施)3)胎盤娩出を促すために、子宮を圧迫しながらの臍帯牽引(正しい手法での臍帯牽引)。この3つの要素の具体的な使用方法は、様々である。混合の管理では、これら3つの要素の全てではなく、この中のいくつかの要素が使用される。積極的管理は、分娩時の重篤な大量出血(分娩後出血)を減らすための試みとして導入された。女性が低栄養や貧血、感染症疾患にかかりやすいような低所得の国では、この分娩後出血は女性の主要な死因の1つである。高所得国では、重篤な出血が生じる頻度は低くなっているが、多くの国で、まだ積極的管理が標準的な実践方法となっている。

レビューの論点

このレビューでは、全ての女性、特に重篤な出血を生じる可能性が低い女性に対し、分娩第3期の異なる管理方法それぞれの利点と害は何かに注目した。2014 年 5 月末までに出版された、 8247人を含む7試験をこのレビューの対象にした。全ての試験が病院で実施され、高所得国は6か国、低所得国は1か国であった。4試験は待機的管理と積極的管理を比較し、3試験は混合管理と積極的管理の比較であった。

研究結果

全体的にみて、エビデンスの質は低く、研究結果に確信を持つには、より多くのデータが必要である。重篤な出血が生じる可能性に関係なく、すべての女性に対し、積極的管理は重篤な出血や貧血を減らすことができる。しかし、児の出生体重の減少や、母体の血圧、後陣痛の程度、嘔吐の回数、出血による再来院する女性の数を増加させていた。出血を生じる可能性の低い女性において、重篤な出血が生じる可能性に、管理方法による差はなかった。

まとめ

インフォームドチョイスができるよう、女性は出産前までに情報提供を受けるべきである。女性が経験した副作用のいくつかは、薬剤の使用により予防可能である。臍帯結紮の遅延は、早期の臍帯結紮よりも出生時体重の減少を予防できることが児にとっての利点となりうるが、より多くの研究が必要である。また、積極的管理の要素のなかで、子宮収縮薬の投与のみを行うことで重篤な出血を減らす可能性がある。低所得国を対象とした多くの研究が特に必要である。

訳注: 

《実施組織》増澤祐子 翻訳、杉山伸子 監訳[2018.5.8] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。  《CD007412》

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