保健行動および妊娠アウトカム改善のための分娩付添い人(TBA)訓練

分娩付添い人(TBA)は、ローリソース国における妊婦ケアの重要な担い手である。ローリソース国の女性の多くは家族や分娩付添い人(TBA)に助けられて自宅で出産する。TBAは正式な訓練を受けておらず、その技術は胎児を出産させることに重きがおかれ、他のTBAから習うことにより得られる。行政および他の機関は、その技術を改善させ保健サービスとTBAを連携させる訓練プログラムを実施している。これらの訓練プログラムが有効かについて意見が分かれている。本レビューでは、1,345名のTBA、32,000名超の女性、約57,000件の出産を対象とした6件の研究を選択し、TBAの行動、妊娠分娩アウトカムに対するTBA訓練または補助的訓練の効果を検討した。選択基準を満たす数件以上の研究があり、いくつかのアウトカムについて有望な結果がみられるが、周産期‐新生児死亡率を改善させるTBA訓練の可能性を確立するにはさらなるエビデンスが必要であると結論した。介入クラスターとコントロールクラスターにおける訓練の対比の欠如および不十分な研究対象数は、母体死亡とその出生児の死亡(早期新生児死亡)について差が認められなかった一因である可能性がある。

著者の結論: 

いくつかのアウトカム(周産期死亡、死産、新生児死亡)について有望な結果がみられた。しかし、ほとんどのアウトカムは1件の研究でのみ報告されていた。介入クラスターとコントロールクラスターにおける訓練の対比の欠如は、死産の有意性のない結果の一因である可能性があり、不十分な研究数は早期新生児死亡について有意性に達しなかった一因である可能性がある。今回更新したシステマティック・レビューで選択したその後追加された研究にもかかわらず、周産期‐新生児死亡率を改善させるためのTBA訓練の可能性を確立するエビデンスは不十分であった。

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背景: 

1970年代~1990年代、世界保健機関(World Health Organization)は母体および新生児死亡率低減のための方法の一つとして分娩付添い人(TBA)訓練を推進した。今日まで、TBA訓練を支持するエビデンスは限定的であるが、いくつかの死亡アウトカムについて有望な結果がみられている。

目的: 

保健行動および妊娠アウトカムに対するTBA訓練の効果を評価すること。

検索方法: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2012年6月18日)、本研究の文献アラート、本検索で同定した研究の文献リストを検索した。

選択基準: 

TBAのケアを受けた女性/TBAのサービスエリアに居住の女性を対象に、訓練を受けたTBAと訓練を受けていないTBA、補助的訓練を受けたTBAと訓練を受けたTBAの比較を行っている発表/未発表のランダム化比較試験(RCT)。

データ収集と分析: 

3名のレビューアが別々に研究の質を評価し、最初のレビューと1回目の更新レビューにおけるデータを抽出した。3名のレビューアと1名の外部レビューアが別々に研究の質を評価し、2名がこの2回目の更新におけるデータを抽出した。

主な結果: 

32,000名超の女性と約57,000件の出産、1,345名のTBAを対象とした6件の研究がTBA訓練の効果を検討しており、訓練を受けたTBAと訓練を受けていないTBAの比較(1件の研究)と、補助的訓練を受けたTBAと訓練を受けたTBAとの比較(5件の研究)とを本レビューに選択した。これらの研究は、個別のランダム化試験(2件の研究)とクラスターランダム化試験(4件の研究)であった。研究サンプルの主要アウトカムは、周産期死亡、死産、および新生児死亡(早期、後期および全体)であった。 訓練を受けたTBAと訓練を受けていないTBAの比較:1件のクラスターランダム化試験では、訓練を受けていないTBAに比べて訓練を受けたTBAにおいて、有意に低い周産期死亡率[調整オッズ比(OR)0.70、95%信頼区間(CI)0.59~0.83]、死産率(調整OR 0.69、95%CI 0.57~0.83)、新生児死亡率(調整OR 0.71、95%CI 0.61~0.82)を認めた。本研究では母体死亡率も訓練を受けたTBAの方が低かったが有意ではなかった(調整OR 0.74、95%CI 0.45~1.22)。 補助的訓練を受けたTBAと訓練を受けたTBAとの比較:3件の大規模なクラスターランダム化試験では、弁付きバッグマスク換気などの蘇生の最初の段階の補助的訓練を受けたTBAを、安全で清潔な出産と分娩直後の新生児ケアにおける基本的訓練を受けたTBAと比較していた。基本的訓練として、口対口蘇生(2件の研究)、弁付きバッグマスク蘇生(1件の研究)が含まれていた。介入クラスターとコントロールクラスターに周産期死亡率について有意差はなく(1件の研究、調整OR 0.79、95%CI 0.61~1.02)、後期新生児死亡率にも有意差はなかった[1件の研究、調整リスク比(RR)0.47, 95%CI 0.20 to 1.11]。しかしコントロールクラスターに比べて介入クラスターの方が新生児死亡率が45%低かった(1件の研究、22.8%対40.2%、調整RR 0.54、95%CI 0.32~0.92)。 死産と早期新生児死亡の2つのアウトカムについてメタアナリシスを実施した。補助的訓練を受けたTBAと訓練を受けたTBAに死産(2件の研究、平均重み付け調整RR 0.99、95%CI 0.76~1.28)および早期新生児死亡率(3件の研究、平均重み付け調整RR 0.83、95%CI 0.68~1.01)について有意差はなかった。

訳注: 

監  訳: 江藤 宏美,2012.12.27

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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