上部消化管出血のある肝硬変患者に対する抗菌薬の予防投与

著者の結論: 

上部消化管出血のある肝硬変患者における抗菌薬予防的使用は細菌感染症を有意に減じた。また、総死亡、細菌感染による死亡、再出血イベント、入院期間を有意に減じたようである。これらの利益は、用いた抗菌薬のタイプとは無関係に観察された;従って特定の抗菌薬が好ましいとすることはできない。それゆえ、抗菌薬の選択は細菌の耐性プロフィールや治療費用などの地方の状況を考慮して行うべきである。

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背景: 

上部消化管出血のある肝硬変患者において細菌感染症は高い頻度で生じる合併症である。抗菌薬の予防投与は細菌感染症の発生を減じるようである。腸内細菌に対して抗菌作用のある経口抗菌薬は、上部消化管出血のある肝硬変患者における感染予防薬として一般的に用いられている。本レビューは2002年に最初に発表されたコクラン・レビューを更新したものである。

目的: 

上部消化管出血のある肝硬変患者における抗菌薬の予防投与の利益と有害性を評価する。

検索方法: 

Cochrane Hepato-Biliary Group Controlled Trials Register、コクラン・ライブラリ Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINE、EMBASE、およびScience Citation Index EXPANDEDを2010年6月まで検索した。さらに、同定したすべての研究の参考文献をハンドサーチした。

選択基準: 

上部消化管出血のある肝硬変患者を対象として、細菌感染症を予防するための様々なタイプの抗菌薬の予防投与を無介入、プラセボまたは他の抗菌薬と比較しているランダム化臨床試験。

データ収集と分析: 

3名のレビューアが独自に試験の質、バイアスのリスクを評価し、データを抽出した。更なる情報を求めて研究著者に連絡を取った。関連尺度は、二値アウトカムに対しての相対リスク(RR)および連続アウトカムに対しての平均差(MD)であった。

主な結果: 

12件の試験(参加者1241例)が抗菌薬の予防投与をプラセボまたは抗菌薬の予防投与なしと比較・評価した。すべての試験にバイアスのリスクがあった。無介入またはプラセボと比較して抗菌薬の予防投与は、死亡(RR 0.79、95%CI 0.63~0.98)、細菌感染症による死亡(RR 0.43、95%CI 0.19~0.97)、細菌感染症(RR 0.36、95%CI 0.27~0.49)、再出血(RR 0.53、95%CI 0.38~0.74)、入院日数(MD -1.91、95%CI -3.80~-0.02)、菌血症(RR 0.25、95%CI 0.15~0.40)、肺炎(RR 0.45、95%CI 0.27~0.75)、特発性細菌性腹膜炎(RR 0.29、95%CI 0.15~0.57)、尿路感染症(RR 0.23、95%CI 0.12~0.41)に有益な影響を与えた。重篤な有害事象は報告されなかった。これらの試験は効果の有意な異質性を示さなかった。別の5件の試験(650例の患者)は様々な抗菌レジメンを比較した。各々の試験が様々な抗菌レジメンを用いたので、データを統合できなかった。検討した抗菌レジメンのどれもが、コントロールの抗菌レジメンよりも、死亡率や細菌感染症に関して優れていなかった。

訳注: 

監  訳: 柴田 実,2011.3.25

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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