加齢黄斑変性症進行抑制のための抗酸化ビタミンおよびミネラルの補充

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加齢黄斑変性症(AMD)は、網膜の中心(眼底)に影響を及ぼす疾患である。網膜は加齢と共に劣化し、一部の人では中心部の視力を失う病変になることがある。抗酸化ビタミン(カロチノイド、ビタミンCとE)やミネラル(セレン や亜鉛)を多く含む食事を取る人では、本疾患の進行が抑制される可能性が示唆されてきている。6150例を対象とした13件のランダム化比較試験を同定した。5件の試験は米国、2件は英国、2件はオーストリア、各1件はそれぞれの4カ国(オーストラリア、中国、イタリア、スイス)で実施されたものであった。これらの試験に関する本レビューでは、抗酸化物質と亜鉛の補充がAMD患者に軽微な利益をもたらす可能性があることを見出した。これは主に、平均6年間にわたって参加者を追跡調査した1件の大規模試験でみられた知見である。追跡調査期間の短いその他の小規模試験では、利益を示すエビデンスは得られていない。 異なる栄養状態のさまざまな集団を対象とした大規模試験が必要である。一般的に安全とされているが、ビタミン補充が有害作用を有する場合もある。ビタミン補充の有害性に関するエビデンスのシステマティック・レビューが必要である。

著者の結論: 

AMD患者において、抗酸化ビタミンとミネラルを補充することで、疾患の進行を遅延させる可能性がある。本知見は、相対的に栄養状態の良好な米国人を対象として実施した1件の大規模試験から得られたものである。その他の集団に対するこれらの知見の一般化可能性は不明である。一般的に安全とされているが、ビタミン補充が有害作用を有する場合もある。ビタミン補充の有害性に関するエビデンスのシステマティック・レビューが必要である。

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背景: 

抗酸化物質は、光吸収の過程で生じるフリーラジカルと反応することで網膜の細胞傷害を予防する可能性があることが提唱されてきた。抗酸化ビタミンやミネラルを多く含む食事は、加齢黄斑変性症(AMD)が進行するリスクを低下させる可能性がある。

目的: 

本レビューの目的は、AMD患者におけるAMDの進行に対する抗酸化ビタミンやミネラル補充の効果を評価することである。

検索戦略: 

CENTRAL(Cochrane Eyes and Vision Group Trials Regissterを含む)(The Cochrane Library 2012年8号)、Ovid MEDLINE、Ovid MEDLINE In-Process and Other Non-Indexed Citations、Ovid MEDLINE Daily、Ovid OLDMEDLINE(1946年1月~2012年8月)、EMBASE(1980年1月~2012年8月)、Allied and Complementary Medicine Database(AMED)(1985年1月~2012年8月)、OpenGrey(System for Information on Grey Literature in Europe)(www.opengrey.eu/)、the metaRegister of Controlled Trials(mRCT)(www.controlled->trials.com)、 ClinicalTrials.gov (www.clinicaltrials.gov)、およびWHO International Clinical Trials Registry Platform(ICTRP)(www.who.int/ictrp/search/en)を検索した。試験に関する電子検索では、日時や言語について制限しなかった。 電子データベースの最終検索日は2012年8月20日である。同定した報告書の参考文献リストおよびScience Citation Indexを検索した。 未発表の研究の詳細については、試験責任医師やその分野の専門家と連絡を取った。また、ビタミン補充の有害性に関するシステマティック・レビューを検索した。

選択基準: 

AMD患者を対象とした抗酸化ビタミンまたはミネラルの補充(単独または併用)と、プラセボ、または非介入を比較したランダム化試験を選択した。

データ収集と分析: 

2名の著者がバイアスのリスクを評価し、選択した試験のデータを抽出した。必要に応じて、ランダム効果モデルを用いてデータを統合した。ただし、利用できた試験が3件以下の場合は、固定効果モデルを用いた。

主な結果: 

本レビューでは、13件の試験(6150例)を選択した。半数以上の参加者(3640例)をランダム化した1件の試験(米国のAREDS)では、平均6.3年間にわたって追跡し、抗酸化物質(βカロテン、ビタミンC、ビタミンE)と亜鉛の補充が、進行性AMDの進行に有益な効果をもたらすことが明らかにされた(調整オッズ比(OR)0.68、95%信頼区間(CI)0.53~0.87)。サプリメントを摂取した人では、(ETDRS視力検査による)15文字以上の視力低下をきたす可能性が低かった(調整OR 0.77、 95%CI 0.62~0.96)。その他の試験では、概して追跡調査が短かった(2年未満)。期間の短いこれらの小規模試験では、補充の効果に関するエビデンスは得られなかった。全般的に、エビデンスの強さは中等度と判断した。 選択した試験についてバイアスのリスクがあるとは判断しなかったが、全般的に、報告バイアスの評価は困難であった。エビデンスの強さを低下させた主な理由は、複数の解析について、1件の試験のみが選択されたため、知見の一貫性を評価できなかったことである。選択した複数の試験では、以下の有害作用を報告していた。泌尿生殖器の疾患による入院が亜鉛を摂取した人でより多くみられた。皮膚の黄変が抗酸化物質を摂取した人でより多くみられた。文献を体系的に検索し、ビタミン補充に関するその他の有害性の可能性を同定した。特に、βカロテンサプリメントを摂取した喫煙者では肺癌のリスクが増加したが、栄養補充の有害性に関するエビデンスについて良好なシステマティック・レビューを同定することが出来なかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2015.12.22] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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