分娩時に水に浸かること

著者の結論: 

エビデンスは、分娩第1期に水に浸かることにより、硬膜外・脊椎麻酔の実施が低減され、分娩第1期の期間が短縮されることを示している。分娩第1期および第2期における水に浸かることに関連するその他のアウトカムについては、介入およびアウトカムにばらつきがあるため情報が限られている。水中分娩により胎児・新生児または母体への有害作用が増加するというエビデンスはない。しかしながら、試験には相当なばらつきがあり、幾つかのアウトカムについてはかなりの異質性が認められた。さらなる研究が必要である。

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背景: 

水中分娩では、母体のリラクゼーションが高まり、鎮痛の必要性が減り、助産モデルのケアを促すと熱心な支持者は提唱している。一方、懐疑論者は新生児の水の吸入および母児の感染のリスクを挙げている。

目的: 

母体、胎児、新生児および介護者のアウトカムについて、分娩時に水に浸かることおよび水中分娩に関するランダム化比較試験のエビデンスを評価すること。

検索戦略: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2011年6月30日)、および抽出した研究の文献リストを検索した。

選択基準: 

研究者の定義により合併症のリスクが低いと考えられる分娩中の女性を対象に、分娩時に浴槽・プールに浸かる場合と浸からない場合、またはその他の非薬物的方法による疼痛管理を比較したランダム化比較試験。

データ収集と分析: 

レビューアは別々に試験の適格性と質を評価し、データを抽出した。1名のレビューアがデータを入力し、もう1名のレビューアが正確性を確認した。

主な結果: 

本レビューでは、12件の試験(女性3,243例)を選択し、そのうちの8件は分娩第1期のみ、1件は分娩第1期の早い時点と遅い時点に水に浸かった場合の比較、2件は第1期および第2期、もう1件は第2期のみに関する試験であった。異なる浴槽・プールまたは分娩第3期の管理について評価した試験は同定されなかった。 分娩第1期の結果から、水中分娩に割付けられた女性はコントロール群と比較して、硬膜外・脊椎・子宮頸管周辺部の鎮痛・麻酔実施率が有意に減少したことが示された[水中分娩群1,254例中478例に対してコントロール群1,245例中529例、リスク比(RR)0.90、95%信頼区間(CI)0.82~0.99、6試験]。分娩第1期の期間短縮も認められた(平均差 -32.4分、95%CI -58.7~-6.13)。器械分娩(RR 0.86、95%CI 0.71~1.05、7試験)、帝王切開(RR 1.21、95%CI 0.87~1.68、8試験)、オキシトシン注入の実施(RR 0.64、95%CI 0.32~1.28、5試験)、 会陰裂傷または母体感染に差は認められなかった。 5分後のアプガースコアが7未満(RR 1.58、95%CI 0.63~3.93、5試験)、新生児室入院(RR 1.06、95%CI 0.71~1.57、3試験)、および新生児感染率(RR 2.00、95%CI 0.50~7.94、5試験)にも差は認められなかった。 分娩第2期に水に浸かった場合と浸らなかった場合を比較した3件の試験のうち1件で、出産経験に対する満足度が有意に高いことが示された(RR 0.24、95%CI 0.07~0.70)。 一部の比較についてはデータが不足していたため、頑健な結論には至らなかった。さらなる研究が必要である。

訳注: 

監  訳: 江藤 宏美,2012.2.7

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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