特集号:コロナウイルス(COVID-19): 感染管理と予防方法

(初版は2020年3月4日に出版され、日々更新を行っている。最新のアップデートは2020年3月20日)

この特別コレクションは、COVID-19に関する2つのコレクションのうちの1つで、感染対策と予防対策に焦点を当てています。別の特集号COVID-19の重症管理に役立つコクランエビデンスも見てください。

この特別号は、 中国語, ペルシャ語, フランス語, 日本語, マレー語, ポルトガル語, ロシア語, スペイン語でも閲覧可能です。

この特別号は、COVID-19のパンデミックに対応して作成され、定期的に更新されています。感染予防に最も直接関連するシステマティックレビューへ、すぐにアクセスできることを目的としています。WHOの中間指針に関連するレビューをはじめ、3つのコクランネットワーク(コクラン公衆衛生および医療システム; コクラン筋骨格系や口腔、皮膚、感覚器; コクラン急性期および救急医療)からの関連性の高いレビューが含まれています。また、影響を受けた地域のコクラングループの知見も活用しています。この特別号に掲載している多くのレビューは、コクラン臨床解答(CCAs)に関連しており、リンクが提供されています。

病原体の性質や伝播様式がCOVID-19について現在知られているものと異なることから、これらのレビューでまとめられたエビデンスの適用は限られている可能性があります。本特集に掲載されているレビューはエビデンスをまとめたものであり、レビューされた介入が有効な予防策であることを意味するものではないことにご注意ください。

 

呼吸器系ウイルスの拡散を断ち切るあるいは減少させるための物理的介入 

インフルエンザや重症急性呼吸器症候群(SARS)のような急性呼吸器感染症の原因となるウイルスの流行やパンデミックは世界的な脅威となっている。抗ウイルス薬やワクチン接種では、感染の拡大を防ぐには不十分である。このレビューでは、呼吸器系ウイルスの拡散を阻止または低減するための物理的介入の有効性を評価する。 関連するコクラン臨床回答物理的介入は呼吸器系ウイルスの蔓延を抑えるのに役立つか?

患者ケアにおける手指衛生コンプライアンスの向上を目的とした介入

医療関連感染は罹患率と死亡率の主な原因である。手指衛生は有効な予防手段と見なされている。このレビューは手指衛生の勧告への遵守を改善するための短期的及び長期的な戦略の成功を評価し、手指衛生遵守の増加が医療関連感染の割合を減らすことができるかどうかを決定する。 関連するコクラン臨床回答医療従事者の手指衛生を改善するためのマルチモーダルキャンペーンの効果は何か? 医療従事者の手指衛生にパフォーマンスフィードバック、教育、嗅覚/視覚的手がかりが及ぼす効果は何か?

医療現場における感染制御のためのスタンダードプリコーション(標準感染予防策)のアドヒアランス(遵守)を改善する

「標準予防策」 とは、医療従事者が病院や老人ホームなどの医療施設で細菌の拡散を減らすために行う、個人用保護具の使用や針の安全な取り扱いの遵守などの行動の指針である。このレビューは、患者ケアにおける標準予防策のアドヒアランスを改善するために医療従事者を対象とした介入の有効性を評価する。

感染性の高い疾患における、汚染された体液への曝露による感染を予防するための医療者向け個人用防護具 

エボラウイルス疾患や重症急性呼吸器症候群(SARS)のような感染性の高い感染症の流行において、医療従事者は、患者の病原微生物に汚染された体液と接触するため、一般集団よりも高い感染のリスクにさらされている。個人用保護具(PPE)による接触予防策は感染リスクを低減できる。このレビューでは、どのタイプの全身PPEが、また、どのPPE着脱方法が医療従事者の自己汚染または感染の最小のリスクとなるか、およびプロトコルを遵守したPPEの着脱方法を行う医療従事者を増やすための訓練方法を評価する。 関連するコクラン臨床回答どのタイプの個人用保護具(PPE)を使用し、医療従事者によるPPEの使用を増やすための介入が、高度な感染症の蔓延を減らすのに役立つのか?

病院でのメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の伝播を減少させるための手袋、ガウン、マスク

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA)は罹患率、死亡率及び医療費を増加させる一般的な院内感染の原因となる病原微生物である。その感染制御は世界中の多くの病院で未解決の問題であり続けている。このレビューでは、MRSAを保菌した、あるいはMRSAに感染した入院患者、あるいは患者周辺の環境に直接接触が予想される場合の手袋、ガウンまたはマスクの着用の効果を評価する。関連するコクラン臨床回答手袋、ガウン、マスクは病院でのMRSAの感染を減らすか?

新生児の罹患率や死亡率を下げる目的での、新生児室のスタッフと訪問者のガウン着用 

ガウンは新生児室および新生児集中治療室で広く使用されている。ガウンは院内感染の拡大を防ぎ、スタッフと訪問者に、乳児と接触する前に手を洗うことを思い出させるのに役立つと考えられる。このレビューでは、新生児室における乳児の感染と死亡の発生率に与える付き添い者と訪問者のガウンの着用の効果を評価する。

呼吸保護具の使用を促進するための行動介入

呼吸器系への危険性は職場でよくみられる。危険性や曝露に応じて、健康への影響は、感染性のあるものや、呼吸器への刺激症状から慢性肺状態までの急性の影響、化学物質または毒素の曝露に由来する癌でさえ含む軽度なものから生命を脅かす疾患まで様々あるだろう。呼吸用保護具(RPE)の使用は、多くの職場で重要な予防手段である。RPEは、適切に装着され、安全に取り外され、定期的に交換または保守される場合にのみ保護機能を果たす。労働者へのRPEの使用を促進するために、使用者や組織あるいは個々の労働者に向けられた行動介入の有効性は、依然として重要な未解決の問題である。このレビューでは、介入なし、または代替介入と比較した場合の、労働者における観察されたまたは自己報告されたRPE使用に与える、組織または個々の労働者のどちらかに対する行動介入の影響を評価した。

院内感染予防のための重症患者のクロルヘキシジン入浴

院内感染は、患者治療にいて頻繁生じる有害事象である。集中治療室での入院期間が長くなったり、合併症を併発したり、永久的な障害や死に至ることもある。感染症の有病率は集中治療室で特に高く、重症患者は免疫抑制が起こっており、侵襲的なモニタリングの対象となる。クロルヘキシジンは低価格の製品であり、殺菌剤および消毒剤として広く使用されており、細菌を殺し、院内感染の拡大を減らす目的で重症患者の入浴に使用される。このレビューでは、重症患者の院内感染数に対するクロルヘキシジン入浴の効果を評価する。関連するコクラン臨床回答集中治療室(ICU)入院者の院内感染予防のためのクロルヘキシジン入浴の効果は?

高齢者の介護施設におけるメチシリン耐性 黄色ブドウ球菌 (MRSA)の感染制御戦略

老人介護施設は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の獲得と拡散を促進する環境をもち、居住者はコロニー形成と感染のリスクが増加する。MRSA感染の予防と制御には、感染予防と感染制御の戦略が重要であることが認識されている。このレビューは、高齢者のための老人ホームにおけるMRSAの伝播を予防するための感染予防と感染制御の戦略の効果を明らかにすることを目的とする。

 

謝辞

この特別コレクションは、Lisa Bero(Senior Editor, Public Health and Health Systems)が、Toby Lasserson(Deputy Editor in Chief)、Newton Opiyo(Associate Editor)、Robin Featherstone(Information Specialist)、Monaz Mehta(Editor)と協力して開発したものです。公衆衛生および医療システムネットワーク、コクランChinaネットワーク、コクラン創傷、およびコクラン急性呼吸器感染症グループも、この特集号に掲載するためのレビューの選択について意見を提供しました。

翻訳

この特集号の日本語版は、増澤祐子(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野/東京医療保健大学)が翻訳し、井村春樹(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野/尼崎医療生協病院)が監訳した。(2020年3月7日翻訳、2020年3月28日更新)この特集号の英語版はコクラン・ライブラリで閲覧できます。コロナウイルス(COVID-19): 感染管理と予防方法.

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Mike Kemp/Getty Images

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Cochrane Editorial and Methods Department (emd@cochrane.org)

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