集中治療室で治療を受けている患者の敗血症早期発見のための自動モニタリング

レビューの論点

敗血症早期発見のための自動化システムは、標準治療と比較して、集中治療室(ICU)入室患者の治療期間を短縮し、アウトカムを改善することができるのか?

背景

敗血症は、感染症を発症し、それに対して免疫系が過剰反応することによって起こる。敗血症が適切に管理されないと、すぐに敗血症性ショックへと進展し、肝臓や心臓などの臓器が正常に働かなくなる。どのような人でも敗血症を起こす可能性はありますが、集中治療室に入室している患者はより敗血症を発症しやすくなっている。敗血症性ショックは致死的で、ヨーロッパでは集中治療を受けている患者の20〜70%で起こる。単独で敗血症かどうかを判定できる検査はない。代わりに、いくつかの検査(血液検査など)の結果を、患者に関するその他の情報(例えば病気の経過)や臨床所見(心拍数、体温、血圧など)とともに検討しなければならない。このプロセスは時間がかかり、複雑なものとなる可能性がある。すでに集中治療を受けている患者の場合、非常に状態が悪い可能性が高く、検査で異常値が見られたとしても、それが集中治療を受けるきっかけとなった元の病気によるものなのか、新たに敗血症を発症しているためなのか判断することは難しい。

自動モニタリングシステムは、さまざまな情報源からの情報収集や分析が可能な電子システムであり、敗血症の徴候および症状が確認されたときにスタッフに警告するために使用することが可能である。このシステムによって、敗血症が可能な限り早期に診断され、内臓にダメージが起こる前に治療を開始できるようになるかもしれない。しかし、自動モニタリングシステムが敗血症診断の助けにならず、むしろ害を及ぼす可能性もある。システムが敗血症を正確に検出できない場合(すなわち治療が必要なときに治療が開始されない、または治療を開始すべきでないときに治療が開始されることを意味する)や、または特に、もし誤った警報が多すぎて、医療スタッフが警報にすぐに応答しなくなっている場合などに自動モニタリングシステムにより害を及ぼすことが起こり得る。

研究の特性

我々は、2017年9月までに公開されたエビデンスを同定するため検索を行った。重篤な疾患のために集中治療室または救命救急センターに入院した患者に対する自動敗血症モニタリングの使用と標準治療(例えば紙カルテをベースとしたシステム)とを比較した試験が組み入れの対象となった。非ランダム化試験(参加者が各治療ランダムに割付けられていない試験)、準ランダム化試験(参加者が生年月日やカルテ番号などによる、真にランダムではない方法で各治療に割付けられた試験)、およびクロスオーバー試験(参加者は最初に片方の治療を受けその後、別の治療法に変更する試験)は除外した。既に敗血症と診断された患者を含む試験も除外した。

主要な結果

我々は、このレビューに合計1199名の参加者からなる3つのランダム化比較試験(参加者が各治療ランダムに割付けられた試験)を含めた。自動モニタリングシステムと標準治療を比較したとき、全体的に見て、病原微生物への抗菌化学療法治療開始までの時間(抗菌薬および抗真菌薬による治療、非常に質の低いエビデンス)、集中治療室滞在期間(非常に質の低いエビデンス)、14日や28日あるいは退院まで追跡した死亡率(非常に質の低いエビデンス)に有意はなかった。敗血症の検出失敗率に関して、非常に質の低いエビデンスが得られた。しかし、報告されたデータがあまりにも不明瞭で、意味のある方法で分析することはできなかった。輸液による初期蘇生(体液量を増やす処置)開始までの時間、30日死亡率、生活の質など、我々が評価しようと考えていた他のアウトカムは、いずれの試験でも報告されていなかった。

エビデンスの質

このレビューの結果からは、限られた、非常に質の低いエビデンスしか得られず、我々はそこから意味のある結論を引き出すことができなかった。敗血症モニタリングのための自動化システムが、このレビューで調査を行ったアウトカムにどのような影響を与えているのか不明であり、自動敗血症モニタリングが有益であるかどうかは不確かである。レビューの論点に対する答えを得る手掛かりとなる、質の高いさらなるエビデンスが必要である。

訳注: 

《実施組織》 安田知浩 翻訳、井村春樹 監訳[ 2019.01.20 ] 《注意》この⽇本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6⽉からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも⽇単位で更新されています。最新版の⽇本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが⽣じている場合もあります。ご利⽤に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《 CD012404 》

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