大建中湯は、待機的開腹手術患者の術後イレウスを低減するか?

背景

術後イレウスとは、腸の機能的閉塞を示す医学用語で、待機的開腹手術患者によくみられる合併症である。腸の蠕動運動がなく、腸の内容物が蓄積され、放屁(腸内ガスの排出)を滞らせるのが特徴である。持続的な術後イレウスに罹患した患者は身動きができず、不快感と痛みがあり、他の合併症のリスクが増加する。結果として、入院の延長や医療コストの増加となる。大建中湯は日本の伝統薬(漢方)で、術後イレウスを低減させる可能性がある。

レビューの論点

本レビューでは、大建中湯が選択的開腹手術患者の術後イレウスを低減させるかどうか調査した。

試験の特性

7件の試験(参加者1202例)を組み入れた。これらの試験では、参加者を無作為に(偶然のみで)複数の臨床治療の1つに割り付けし、大建中湯の治療群と他の薬、プラセボ、または無治療治療群と比較した。検索は2017年7月3日に行った。評価したのは、開腹手術終了から最初の放屁までの時間、最初の蠕動運動までの時間、通常の固形食の摂取再開までの時間、大建中湯に関連した有害事象、患者の満足度、退院までの術後イレウスに対する再処置、および入院期間である。

主な結果およびエビデンスの質

全体として、それぞれの分析に含まれた参加者数が少なかった。手術から最初の放屁、最初の蠕動運動または通常の固形食の摂取再開までの時間、大建中湯に関連した有害事象の有無、患者の満足度、退院までの術後イレウスに対する再処置の有無、入院期間のいずれも十分に調査することができなかった。
提示されたアウトカム全てのエビデンスの質は、中程度~非常に低いと判断した。

著者の結論

レビュー結果により、大建中湯が開腹手術患者の術後の腸運動を促すかどうかは確かでなく、このため大建中湯が術後イレウスを低減するかどうかは明らかにされていない。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD012271.pub2】

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