乳癌の治療を受けた女性のフォローアップでの集学的リハビリテーション

乳癌は世界的に女性で最も多い癌です。乳癌と診断された女性の大多数は、手術と放射線治療か化学療法、またはその両方の治療を受けます。乳癌管理におけるこれらの大きな進歩とともに、多くの患者は短期または長期の副作用と病気や治療に関連した精神的苦痛に対処しなければならず、生活の質に大きい影響を受けます。集学的リハビリテーションは女性のアウトカムを改善することを目的としていますが、その有効性に基づくエビデンスはまだ確立されていません。集学的リハビリテーションプログラムはさまざまで、2つ以上の介入を含み、通常は、医療、運動、教育、心理学的カウンセリング、および支援的介入から選択して行います。このレビューでは、乳癌の治療を受けた女性のフォローアップ中の組織的な集学的リハビリテーションの効果を評価した試験を調べました。<br /><br />乳癌患者262名の2件のランダム化比較試験(RCT)しか同定できませんでした。これらの研究によるデータにより、乳癌治療後の機能障害(肩の可動範囲)、心理社会的適応、および生活の質のレベルで、集学的リハビリテーションによる短期的利益があるという低品質のエビデンスが得られました。そのような治療の長期の機能的アウトカム、介護者への影響、これらのプログラムの費用対効果を報告している研究はありませんでした。<br /><br />全体として、このレビューの結果から、集学的リハビリテーションは有害ではなく、短期間の機能的能力および生活の質を改善すると示唆されました。このレビューにより、本分野での頑健な試験は欠如しており、高品質で試験に基づくさらなる研究の必要性が明らかになりました。

著者の結論: 

機能的能力、心理社会的適応、社会活動への参加という点で、集学的リハビリテーションにより乳癌の人のアウトカムが改善しうるという「低レベル」のエビデンスがみられた。活動のレベルでの機能的利益についてエビデンスは得られなかった。本レビューにより、リハビリテーションの状況でのRCTの限界および本領域の高品質で試験に基づいた研究の必要性が強調された。リハビリテーションに関して乳癌生存者を定期的に調査・評価することが推奨される。

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背景: 

乳癌は世界的に女性で最も多い悪性腫瘍である。集学的リハビリテーションは女性のアウトカムを改善することを目的としているが、その有効性に基づくエビデンスはまだ確立されていない。

目的: 

乳癌の治療を受けた女性のフォローアップ中の組織的な集学的リハビリテーションの効果を評価すること。

検索戦略: 

2011年12月に、Cochrane Breast Cancer Group Specialised Register、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(コクラン・ライブラリ)、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、AMED、PEDroおよびLILACSを検索した。

選択基準: 

集学的リハビリテーションを何らかのコントロール介入(低レベルまたは異なる種類の介入、最小限の介入、待機者リストコントロール、または無治療、異なる状況での介入など)と比較したランダム化比較試験(RCT)および比較臨床試験(CCT)。

データ収集と分析: 

回収したデータの種類は定量的に統合できなかったため、叙述的統合を提示した。選択した研究の方法論的質をバイアスリスクツールを用いて3名のレビューアが評価した。

主な結果: 

参加者262名の2件のRCTが選択基準を満たした。両試験の方法論的質は不良と判断された。乳癌治療後(12ヵ月まで)の機能障害(肩の可動範囲)、心理社会的適応、および生活の質のレベルで、集学的リハビリテーションにより短期的利益が得られるという「低レベル」のエビデンスがみられた。介護者の長期的機能アウトカムおよびこれらのプログラムの費用対効果について得られたエビデンスはなかった。最適な治療頻度と期間、または他より優れた1種類の介入の選択を示唆することはできなかった。

訳注: 

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