分娩中の疼痛管理に対するマッサージ、リフレクソロジーおよびその他の徒手法

論点

本コクラン・レビューでは、マッサージ、リフレクソロジーおよびその他の徒手法によって、疼痛が低減し、女性の出産経験を改善するかどうかを検討した。この臨床疑問を解明するため、関連するすべての試験を収集し、分析した(検索日:2017年6月30日)。

重要である理由

分娩の疼痛は強烈な場合があり、緊張、不安や恐怖によってさらに悪化する。多くの女性が、麻酔薬や硬膜外麻酔などの薬剤を使用せずに出産することを望んでおり、分娩中の疼痛管理に役立つ補完的療法に興味を持っている。

今回のレビューでは、マッサージ、リフレクソロジーおよびその他の徒手法が有効であるかどうかを検証した。鍼治療、心身療法、催眠術やアロマセラピーなどのその他の補助的療法は、その他のコクラン・レビューで検証されてきた。マッサージは、身体の軟部組織を解すことであり、助産師やパートナーが行う。女性はリラックスできるため、緊張がほぐれ、結果として分娩中の疼痛が低減する可能性がある。リフレクソロジーは、足の一部を優しく解したり押したりすることであり、身体の他の部分に効果が出る。その他の徒手法としては、温パック、整骨療法、指圧やゼロバランシングなどがある。女性が自身のケアについて情報を得た上で判断できるように、これらの療法が奏効するかどうか、また安全であるかどうかを検証することは重要である。

得られたエビデンス

今回の最新レビューでは、14試験を対象とした。合計1055例の女性を対象とした10試験からデータを利用することができた。リフレクソロジー、整骨療法、指圧療法やゼロバランシング療法に関する試験はなかった。

対象としたさまざまな試験において、マッサージは、助産師、助産師見習い、心理セラピストやマッサージ・セラピストによって行われた(いくつかの試験では、誰がマッサージを施行したか報告されていなかった)。3試験では、女性やそのパートナーが参加し、有資格施行者が行う2〜3時間の出産前の講座が行われていた。3試験では、介入は、有資格医療従事者(マッサージ・セラピスト、心理セラピストや看護師/資格詳細不明の研究者)によって行われた。1試験では、看護師が産科病棟にて女性のパートナーに教えた。マッサージを教えた施行者の資格に関する報告は不十分であった。

マッサージや温パックは、通常のケアや音楽と比較して、子宮が拡張する最初の段階での分娩痛を緩和する上で役立つ可能性がある。しかし、このエビデンスの質は非常に低かった。介助普通分娩、帝王切開施行率、分娩時間、鎮痛剤使用に対するマッサージの効果は、より不明確であり、エビデンスの質もまた非常に低かった。小規模な2試験では、マッサージを受けた女性について出産の満足度増加、コントロールの感覚増加が認められた。

温パックは、分娩初期段階での疼痛緩和や分娩時間の短縮と関連した(エビデンスの質は非常に低い)。

意味するもの

マッサージは、女性が分娩中の疼痛に対応する上で役立ち、良好な出産経験を得られる可能性があり、温パックや温める方法は疼痛に役立つと考えられる。しかし、エビデンスの質は全般的に低いまたは非常に低かった。この原因の一部は、試験が小規模であり、参加した女性の数が十分ではなかったからである。これらの所見から、このトピックに関するさらなる研究の必要性が浮き彫りになった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD009290.pub3】

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