高コレステロール血症に対する中薬(中医学の薬草療法)

高コレステロール血症は、血液中のコレステロールが増えすぎた時に発症する。つまり、疾病ではなく、代謝の乱れである。血液中でコレステロールを輸送するリポ蛋白と呼ばれる粒子の量が増えるため、血中コレステロールが上昇する。コレステロールには主に2種類ある。HDL(高密度リポ蛋白)コレステロールとLDL(低密度リポ蛋白)コレステロールである。

高コレステロール血症とは、通常、血中総コレステロールが上昇した状態、またはLDLコレステロールは上昇しているがHDLコレステロールは正常か低い状態をいう。高コレステロール血症の人は冠動脈疾患、心臓発作および脳卒中を起こすリスクが高い。中薬はコレステロール降下薬として広く使用、研究されてきた。高コレステロール血症の治療に対するさまざまな中薬(単一の薬草、中国の中薬および種々の薬草を混合したもの)の効果を評価するため、本レビューでは5種類の中薬を対象にした22件のランダム化比較試験を検討した。試験期間は1〜6カ月(平均2.3カ月)、参加者数は2130名であった。心血管イベントおよび総死亡率に関するデータはなかった。各1件の試験で、健康状態(有意なし)および費用について報告されていた。重篤な有害事象は観察されなかった。入手可能なエビデンスは、いくつかの中薬にコレステロール低下作用が認められることを示唆している。しかし、対象試験の質に著しい制限があるため、高コレステロール血症に対する中薬の効果に関して信頼性のある結論を導くためには、今後、質の高い試験を厳格に実施する必要がある。

著者の結論: 

一部の中薬はコレステロール降下作用を有する可能性がある。対象試験バイアスのリスクは高いかまたは不明であるため、本レビューの結果は慎重に解釈しなければならない。

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背景: 

高コレステロール血症は虚血性心疾患の重要な寄与因子であり、年齢、高血圧、高コレステロール血症の家族歴および糖尿病と関連がある。中薬は長年の間、脂質降下薬として使用されている。

目的: 

高コレステロール血症に対する中薬の効果を評価すること。

検索方法: 

以下のデータベースを検索した:The Cochrane Library (2010年8号)、MEDLINE (〜2010年7月)、EMBASE (〜2010年7月)、Chinese BioMedical Database (〜2010年7月)、Traditional Chinese Medical Literature Analysis and Retrieval System (〜2010年7月)、China National Knowledge Infrastructure (〜2010年7月)、Chinese VIP Information (〜2010年7月)、Chinese Academic Conference Papers Database and Chinese Dissertation Database (〜2010年7月)およびAllied and Complementary Medicine Database (〜2010年7月)。

選択基準: 

高コレステロール血症患者において中薬とプラセボ、無治療および薬理学的介入または非薬理学的介入を比較したランダム化比較試験を対象とした。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者がそれぞれデータを抽出し、バイアスのリスクを評価した。評価の矛盾点はすべて話し合いによって解決し、合意によって決定を行った。以下の主な基準に基づいて試験バイアスのリスクを評価した。ランダムシーケンスの生成、割りつけの隠蔽化、参加者の盲検化、不完全なアウトカムデータ、選択的アウトカム報告およびその他のバイアス源。

主な結果: 

ランダム化試験22件を組み入れた(参加者2130名)。平均治療期間は2.3 ± 1.3カ月であった(1〜6カ月)。20件の試験は中国で実施され、18件は中国で発表された。全体として、対象試験バイアスのリスクは高いかまたは不明であった。対象試験では5種類の中薬を検討し、中薬と従来の薬剤6種類(20件)またはプラセボ(2件)を比較した。いずれの試験でも、心血管イベントおよび総死亡率に関するアウトカムデータは示されていなかった。各1件の試験で、健康状態(有意なし)および費用について報告があった。重篤な有害事象は観察されなかった。対象試験のうち最も利用数が多かったのはXuezhikangであった。総コレステロールに対し、ニコチン酸イノシトールと比較してXuezhikangの有意な効果(2試験、参加者数254名)が認められた(平均差(MD) -0.90 mmol/L, 95%信頼区間(CI) -1.13〜-0.68)。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.1.20]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
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