口唇裂、口唇口蓋裂患児への2次的顎裂骨移植

顎裂は、口の中の歯肉部の骨欠損であり、口唇裂・口唇口蓋裂患者の約75%に発生する。この欠損を修復できないと、多くの問題が生じる。顎裂骨移植は、口唇裂・口蓋裂治療の専門家には広く認められている治療法であるが、手術法や手術至適時期、骨採集部位、人工骨が何らかの利点をもたらすかなど点について、いまだに論争がある。ひとつの疑問として、臨床的評価において、人工骨のみを用いた移植が、手術部位の問題を減少させ、かつ画像検査でも従来の腸骨移植と同等な成績が得られるのかというものがある。今回の調査で、2つの小規模な研究が見つかった。ひとつは、新しい人工材料の移植を従来の骨移植と比較した研究で、他は骨移植時に特殊な糊を使う方法を調べたものである。しかしながら、両方の研究とも、研究の質が低いと判定され、これらの新しい治療法が、従来の骨移植に比べて優れているという結論は出せなかった。

著者の結論: 

抽出された2つの研究は、バイアスのリスクが高いので、ひとつの治療法が、他方に比べて優れていると結論づけるには、エビデンスが不十分である。

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背景: 

2次的顎裂骨移植は、顎裂部の再建のために広く行われて来た。しかしながら、いまだに論争がある。

目的: 

種々の2次的骨移植の術式の有効性と安全性を比較すること。

検索方法: 

最終の電子的検索および、ハンドサーチは、2011年2月11日に行われ、それらには、the Cochrane Oral Health Group’s Trials Register, Cochrane Central Register of Controlled Trials, MEDLINE, EMBASE, Chinese Biomedical Literature Database and WHO International Clinical Trials Registry Platformが含まれていた。中国のすべての歯科および口腔分野の専門雑誌と必要と思われる学会紀要のハンドサーチが行われた。言語や検索対象期間については、制限しなかった。

選択基準: 

RCT(ランダム化比較試験)のみが抽出された。患者は、唇顎裂のみか、片側性または両側性口唇口蓋裂で顎裂がありかつ5歳以上の患児を対象としたものとした。

データ収集と分析: 

2人のレビューア著者が、個別にデータを抽出し、研究の質を評価した。2人の評価が異なったときは、レビューチームで議論して決定した。必要な場合には、抽出された研究の第一著者に情報提供を求めた。

主な結果: 

582の可能性のある研究のうち、2件のみが選択基準に合致した。ひとつの研究は、人工材料(InFuse bone graft substitute impregnated with BMP-2)を移植したものと、一般的な腸骨移植を比較したものである。他の研究は、骨移植部へのフィブリン糊の使用を研究したものである。両方の研究とも、21症例、27症例と症例数が少なく、また、バイアスのリスクが高い研究と判定された。両研究におけるアウトカムに、介入による有意があるとしても、注意して取り扱うべきであり、ここで強調すべきではない。

訳注: 

監  訳: 富樫 真二,毛利 環,JCOHR,2012.5.15

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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