新生児の低酸素性虚血性脳症(HIE)に対する鍼治療

低酸素性虚血性脳症(HIE)は、新生児が周産期に酸素欠乏を起こすと発症する。 HIEは(新生児の)罹病率および死亡率に大きな影響を与える。効果のある選択治療は限られている。鍼治療が今まで試されてきた。ランダム化比較試験(RCT)のシステマティック・レビューを通して、鍼治療の有効性と安全性を評価しようとした。しかし系統的および総合的に医学文献を検索したが、(適合する)RCTは同定できなかった。HIEの新生児に対し鍼治療を用いることに関する良いエビデンスは、現在のところ存在しない。HIEの新生児に対する鍼治療の安全性については不明である。質の高いRCTが必要である。

著者の結論: 

HIEの新生児への鍼治療の論拠は不明確で、RCTのエビデンスは不足している。したがって新生児のHIE治療に対して鍼治療を推奨できない。したがって新生児のHIE治療に対して鍼治療を推奨できない。

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背景: 

新生児の低酸素性虚血性脳症(HIE)は、高い死亡率および罹病率と関連性がある。有効な選択治療が限られており、したがって鍼治療などの代替治療の利用が増加している。

目的: 

HIEの新生児の罹病率および死亡率に対する鍼治療の有効性および安全性の確定を試みた。

検索戦略: 

Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)(コクラン・ライブラリ)、Cochrane Neonatal Specialized Register、 MEDLINE、 AMED、 EMBASE、 PubMed、 CINAHL、 PsycINFO、 WHO International Clinical Trials Registry Platform、およびさまざまな中医学データベースを2012年11月に検索した。

選択基準: 

HIEの新生児(生後28日未満)の鍼治療群と、無治療、プラセボまたは偽治療のコントロール群とを比較したランダム化比較試験(RCT)または準RCTの選択を計画した。介入およびコントロール群両群が同じ併用介入を受ける場合に限り、併用介入を許可した。鍼の皮膚穿通を施さない治療を評価した試験または異なる種類の鍼治療を比較しただけの試験は除外した。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者が独立して選択試験を評価した。試験を同定後、レビュー著者は独立して試験の質を評価しデータを抽出することとした。二値アウトカムに対しては、リスク比(RR)、リスク差 (RD)、治療必要数(NNTB)、有害必要数(NNTH)を 95%信頼区間(CI)で、連続アウトカムに対しては平均差 (MD)を95%CI で用いるよう計画した。

主な結果: 

所定の選択基準に適合する試験はなかった。既存の試験はHIEがから生存した年長の乳児における鍼治療を評価しているだけであった。新生児のHIE治療における鍼治療の有効性を評価したRCTは現在のところない。HIEの新生児に対する鍼治療の安全性については不明である。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2016.1.5]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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