レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)に対する鉄補充

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レストレスレッグス症候群(RLS)は特に夕方や夜間に脚を動かしたくなる不快な衝動が生じ、睡眠を妨げる疾患として多く認められる。RLS患者では血中鉄濃度の低下が認められることが多く、この鉄欠乏がRLSの原因の一つである可能性がある。鉄は錠剤または血管注射によって補充できる。本レビューは、鉄補充がRLSの症状改善に有効かどうかを確認するために実施した。6件の試験を対象としたが、合計参加者数はわずか192名であった。試験結果は矛盾が認められ、鉄補充の効果が認められない試験と、患者のむずむず感や不快感に対して改善効果が得られた試験があった。試験によって実施方法が異なるため、すべての試験結果を統合して鉄の有効性を総合的に判断することができなかった。2件の試験ではRLS患者のうち特定のサブグループを対象としており、鉄補充に対し、RLS患者集団全体とは異なる反応を示すことが予測される。重度の腎臓病を有するRLS患者を対象とした試験では鉄補充療法が有効であった。血中鉄濃度が低いRLS患者を対象とした試験では、いずれの時点でも、鉄補充療法の一貫した有益性が認められなかった。鉄補充は、プラセボと比べて副作用を増加させなかった。RLS患者に鉄を使用すべきかどうかを決定するには、さらに研究が必要である。

著者の結論: 

鉄補充療法がRLSの治療に有益であるかどうかを判断するにはエビデンスが不十分である。一部またはすべてのタイプのRLS患者に対して鉄補充療法が有効であるかどうかを検証し、鉄の最適な投与経路を決定するには、さらに研究が必要である。

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背景: 

レストレスレッグス症候群(RLS)は一般的な神経症候群で、多くの患者で鉄欠乏との関連が認められる。鉄補充療法がRLSの治療に有効であるかどうかは不明である。

目的: 

本レビューの目的はRLS患者に対する鉄補充(経口投与または静脈内投与)の効果を評価することであった。

検索方法: 

Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)、MEDLINE (1995年1月〜2011年4月)、EMBASE (1995年1月〜2011年4月)、PsycINFO (1995年1月〜2011年4月)およびCINAHL (1995年1月〜2011年4月)を検索した。このほか、既報または未発表の試験を追加検索するため、対象試験試験著者およびInternational Restless Legs Syndrome Study Groupの新規メンバーに問合せを行った。

選択基準: 

専門家による臨床面接または明確な診断基準によってRLSと診断された成人患者を対象に、さまざまな鉄製剤をプラセボ、他の薬剤または無治療と比較した比較対照試験

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者がデータを抽出し、2名以上のレビュー著者が試験の質を評価した。欠測データについて試験著者に問い合わせた。

主な結果: 

6件の試験(参加者合計192名)を同定し、本解析の対象とした。試験の質はさまざまであった。主要アウトカムは脚のむずむず感または不快感で、4件の試験では国際RLS重症度評価尺度を、1件の試験では別のRLS症状評価尺度を用いて定量化した。国際RLS重症度評価尺度を用いて4件の試験のデータを統合した結果、鉄補充療法の明らかな有益性は認められなかった(国際RLS重症度評価尺度平均差-3.79, 95% CI: -7.68〜0.10, p = 0.06)。一方、別のRLS症状評価尺度を用いて定量化した1件の試験では、鉄補充療法の有益性が認められた(10ポイント評価によるRLS症状評価尺度で鉄補充群のスコア減少中央値が3ポイント、プラセボ群では変化なし、p = 0.01)。一部の試験でのみ、プラセボ群と比較して鉄補充群の生活の質が改善したが、他の試験では改善は認められなかった。断続的な下肢の動きの変化に群間は認められなかった(2件の試験で測定)。客観的睡眠の質、主観的睡眠の質および日中の機能を評価した試験では、試験群間では認められなかった。末期腎臓病患者を対象とした単一試験では、鉄補充療法の効果が認められた。大多数の試験では鉄欠乏症の併発を必要な条件としておらず、一部の試験では、高度の貧血を有する患者を試験から除外していた。鉄欠乏症患者に対象を限定した単一試験では、RLSの症状に対する鉄補充の明らかな有益性は認められなかった。鉄を経口投与した場合と静脈内投与した場合で、明確な優越性は認められなかった。鉄補充療法とプラセボを比較した場合、副作用発現率に有意は認められなかった(RR 1.39, 95% CI 0.85〜2.27)。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.3.13]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
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