小児の中耳炎に対するアデノイド切除術

著者の結論: 

今回のレビューは、OME小児を対象とした中耳滲出液の消失に関する限り、アデノイド切除術の有意な利益を示している。しかし、聴力への利益は小さく、鼓膜変化に対する効果は不明である。手術リスクとこれらの潜在的利益とのバランスを考慮して検討すべきである。

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背景: 

アデノイドの外科的切除であるアデノイド切除術は、中耳炎のある小児に世界中で一般的に行われている耳鼻咽喉科領域の手術法である。この特定集団を対象としたアデノイド切除術の有効性に関するシステマティック・レビューは今まで実施されていない。

目的: 

中耳炎の小児を対象に、アデノイド切除術の有効性を非外科的管理または鼓膜チューブと比較評価する。

検索方法: 

Cochrane Ear, Nose and Throat Disorders Group Trials Register、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、PubMed、EMBASE、CINAHL、Web of Science、BIOSIS Previews、Cambridge Scientific Abstracts、mRCT、ならびに発表済み・未発表の試験の追加的情報源を検索した。最新検索日は2009年3月30日であった。

選択基準: 

中耳炎の小児を対象に、鼓膜チューブを併用するまたは併用しないアデノイド切除術を、非外科的管理または鼓膜チューブ単独と比較しているランダム化比較試験。検討する主要アウトカムは、滲出性中耳炎(OME)期間の割合であった。副次的アウトカムは、エピソードの平均回数、1エピソード当りの平均日数および年間の平均日数、急性中耳炎(AOM)または滲出性中耳炎(OME)のいずれかの小児の割合、ならびに平均聴力レベルであった。三次アウトカム指標には、鼓膜の萎縮、鼓膜硬化、緊張部および弛緩部の陥凹、ならびに真珠腫であった。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが独自に試験の質を評価し、データを抽出した。

主な結果: 

中耳炎の小児を対象にアデノイド切除術の有効性を検討していた14件のランダム化比較試験(小児2,712例)について評価した。これらの試験の大半は異質性が非常に大きいためメタアナリシスに統合できなかった。2年後の追跡不能率は0%~63%であった。片側の鼓膜チューブ単独と比較して、片側の鼓膜チューブを併用したアデノイド切除術にはOMEの消失に有益効果があり(非手術耳について6ヵ月および12ヵ月の時点でのリスク(RD)はそれぞれ22%(95%CI 12%~32%)および29%(95%CI 19%~39%)(試験n=3)、聴力に対して非常に小さい(<5dB)効果があった。鼓膜切開を併用するまたは併用しないアデノイド切除術を非外科的治療または鼓膜切開単独と比較、あるいは両側の鼓膜チューブと併用したアデノイド切除術を両側の鼓膜チューブ単独と比較した研究の結果も、滲出液の消失にアデノイド切除術は小さい有益効果が示された。後者の結果は試験の異質性が大きすぎたため統合できなかった。AOMに関して、このアウトカムを含めているいずれの試験結果もアデノイド切除術に有意な有益効果を示していない。試験は異質性が大きすぎたためメタアナリシスに統合できなかった。鼓膜の変化または真珠腫に対するアデノイド切除術の効果については検討されていない。

訳注: 

監  訳: 尹 忠秀,2010.4.15

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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