慢性心不全患者の貧血に対する赤血球産生刺激薬

著者の結論: 

複数の小規模RCTを統合したメタアナリシスから、症候性CHFおよび軽度貧血(ヘモグロビンが10g/dLを上回る)のある患者を対象としたESA治療は貧血および運動耐性を改善し、症状を軽減し、臨床アウトカムに対して有益となる可能性を示唆している。この結果を確認するため、用量、ヘモグロビン治療の標的、それに伴う鉄療法に細心の注意を払った適切にデザインされた研究が必要である。

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背景: 

慢性心不全(CHF)は、世界中の罹病率および死亡率の主な原因である。貧血はよくみられる(12~55%)併存疾患であり、症状を悪化させ、死亡率を上昇させる。貧血は治療可能であり、CHF患者の治療の標的となる。赤血球産生刺激薬(ESA)は鉄療法によって補充され、慢性腎臓病や癌の貧血治療に用いられている。しかし、これらの患者に対する安全性への懸念が高まっている。CHFにおけるこれらの薬剤の臨床的な利益と安全性は依然として不明である。

目的: 

貧血のあるCHF患者を対象にESAの利益とリスクを評価する。

検索方法: 

Cochrane Central Register of Controlled Trials(コクラン・ライブラリ2008年第3号)、MEDLINE(1950年~2008年10月)、EMBASE(1980年~2008年10月)および論文の参考文献リストを検索した。言語に制約を設けなかった。

選択基準: 

CHF患者を対象に鉄療法を併用したまたは併用しないESAに関するランダム化比較試験が選択に適格であった。

データ収集と分析: 

3名のレビューアが独立して研究の質を評価し、データを抽出した。追加情報については、原著者に問い合わせた。関心対象のアウトカムは、運動耐性、ヘモグロビンレベル、ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類、生活の質(QOL)、左室駆出率、B型ナトリウム利尿ペプチド、CHFに関連した入院、総死亡率、有害作用であった。二値データについてはリスク比(RR)、連続データについては重み付け平均差(WMD)を計算した。

主な結果: 

11件の研究(参加者794例)を含めた。研究の全体的な質は中等度であり、9件の研究プラセボ比較であったが、5件のみが二重盲検であった。コントロールと比較して、ESA治療は運動持続時間を96.8秒有意に改善させ(95%CI 5.2~188.4、p=0.04)、6分間歩行距離を69.3メートル有意に改善させた(95%CI 17.0~121.7、p=0.009)。ピークVO2(+2.29mL/kg/min、p=0.007)、NYHA心機能分類(-0.73、p<0.001)、駆出率(+5.8%、p<0.001)、B-型ナトリウム利尿ペプチド(-226.99pg/mL、p<0.001)、QOL指標の点でも利益が認められ、ヘモグロビンの平均増加は1.98g/dLであった(p<0.0001)。心不全に関連した入院率(RR 0.62、95%CI 0.44~0.87)および総死亡率(RR 0.61、95%CI 0.37~0.99)も有意に低かった。ESA療法による有害事象の増加は認められなかったが、研究の標本サイズは小さく、期間は限られていた。

訳注: 

監  訳: 澤村 匡史,2010.6.25

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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