高度認知症のある高齢者に対する経腸経管栄養

著者の結論: 

非常に多数の患者が本介入を受けているにもかかわらず、経腸経管栄養が高度認知症患者に有益であることを示唆するエビデンスは不十分である。本介入の有害作用に関するデータはない。

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背景: 

栄養摂取不良な高度認知症患者に対しては経腸経管栄養が一般に使用されている。米国での1件の調査で、高度認知障害のあるナーシングホーム居住者186,835名のうち34%が経管栄養を使用していた。この医療の利益や害は不明である。

目的: 

摂食と嚥下に問題が生じており、さらに/または栄養摂取不良な高度認知症の高齢者に対する経腸経管栄養のアウトカムを評価する。

検索方法: 

2008年4月にSpecialized Register of the Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Group(CDCIG)、コクラン・ライブラリ、MEDLINE、EMBASE、PsycINFO、CINAHLおよびLILACSを検索した。引用文献をチェックした。採用するか不採用とするか判定可能でない場合には、詳細に評価するために引用文献の全文を入手した。

選択基準: 

経鼻胃管または経皮的内視鏡下胃瘻造設術(PEG)により通した管を介する経腸栄養の有効性を評価しているランダム化比較試験(RCT)、比較臨床試験、対照群のある前後比較研究および中断時系列研究を含めることを計画した。加えて、比較観察研究を含めた。研究対象集団は、以下を有する年齢50歳以上の成人(男女)から構成された:DSM-IVまたはICD-10(APA 1994、世界保健機関(WHO)1993)などの妥当性が証明されている診断基準に基づいて一次性変性認知症と診断されている;妥当性が証明され受け入れられているツールまたは臨床的評価による定義に基づく高度認知障害がある;栄養摂取不良および/または摂食・嚥下に問題がある。データが限られている場合には、参加者の大多数が認知症を対象としていた研究も考慮した。

データ収集と分析: 

1名のレビューアが独自にデータを抽出、評価し、第2のレビューアがチェックした。必要に応じて、何らかの意見の不一致や食い違いがある場合には、第3のレビューアがレビューすることを計画した。情報が欠けている場合は、著者への問い合わせを試みた。比較可能な重要な特性を持つRCTについては、メタアナリシスを検討することを計画した。主要アウトカムは生存と生活の質(QOL)とした。

主な結果: 

RCTは同定されなかった。7件の比較観察研究が同定された。うち6件で死亡率を評価していた。残り1件の研究は栄養アウトカムを評価していた。経腸経管栄養を受けている患者で生存率が上昇することを示すエビデンスはなかった。いずれの研究もQOLについての検討はなく、栄養状態や褥瘡性潰瘍の有病割合の観点から利益を示すエビデンスはなかった。

訳注: 

監  訳: 江川 賢一,2009.9.15

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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