早産児および低出生体重児に対する集中治療室での明暗周期のある光環境

レビューの論点

補正済み在胎期間を踏まえた3カ月および6カ月時点での早産児の発育に対する明暗周期のある光環境(約12時間点灯、12時間消灯)の有効性と安全性を確認する。別々の疑問を調査するため、早産児の補正済み在胎期間を踏まえた月齢3カ月および6カ月時点での発育に関して、明暗周期のある光環境と不規則な低照度またはほぼ暗所の環境の有効性の比較と、明暗周期のある光環境と連続的な高照度の環境の比較を行った。

背景

新生児室の照明による利益と有害性については、これまで定量化されていない。妊婦はさまざまな強度の光や音に曝されるが、一般に夜間はその強度が低い。光や音の一部は、胎内の胎児に届き、概日リズムを誘導している。「概日性」とは、24時間で自然に繰り返す生物学的プロセスを説明するために用いる用語である。早産児は出生後に、計画されていない明暗周期の環境および概日性に同調していないような明暗環境でケアされる。乳児は、連続的な高照度の光、連続的なほぼ暗所、またはその2つの不規則な組み合わせに曝される。

試験の特性

乳児544例が登録された計9件のランダム化試験および準ランダム化試験を組み入れた。

試験の資金源

我々の知る限り、このレビューに組み入れた試験のうち企業の研究助成を受けたものはなかった。

主要な結果

3カ月または6カ月時点の体重を報告している試験はなかった。ある試験は、明暗周期のある光環境に曝された乳児が連続的な高照度の場合と比較して、月齢3カ月時点で発育が改善したことを報告していた。別の試験では月齢4カ月時点での体重に差がなかった。入院日数は、明暗周期のある光環境の新生児室のほうが、ほぼ暗所の場合および連続的な高照度の場合と比較して短かった。アウトカムが統計学的な有意差を示した試験は数少なく、これは、試験に登録された乳児の数が少ないことが原因の可能性がある。ただし、明暗周期のある光環境のほうが、ほぼ暗所の場合および連続的な高照度の場合と比較して、ほとんどのアウトカム(体重の増加、未熟児網膜症の罹患率、泣いている時間)で良好な傾向があった。

エビデンスの質

介入を介護者に対して盲検化できなかったこと、試験に登録された乳児の数が少なかったことから、評価されたアウトカムのエビデンスの質は低かった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD006982.pub4】

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