上気道感染症(URTI)(風邪など)を予防するためのプロバイオティクス(生菌)

レビューの論点

プロバイオティクス(生菌)の消費増大を受けて、(免疫不全ではない)人における風邪などの急性上気道感染症(URTI)の予防に対するプロバイオティクスの効果プラセボと比較したレビューを実施した。

背景

URTIには風邪や気管・咽頭の炎症などが含まれ、発熱、咳嗽、疼痛、頭痛などの症状を伴う。最も急性のURTIはウイルス感染で生じ、通常は3から7日で回復する。これらの感染の発生率を減らすため、特に小児や高齢者では専用のワクチンが推奨されることが多い。

一部のプロバイオティクス(生きた微生物)は、適切な量を患者に投与した場合、健康上の利益が得られる。プロバイオティクスで最も一般的なのは、乳酸菌およびビフィズス菌である。これらの菌は、ヨーグルトや豆乳ヨーグルトなどの発酵食品や栄養補助食品から摂取されることが多い。しかし、URTIの予防に対するプロバイオティクスの効果は依然としてほとんど解明されていない。

研究の特性および検索日

科学データベースから関連試験をすべて検索した結果、2014年7月までに発表された13件のランダム化比較試験(RCT)を同定した。12件のRCTからデータを抽出して統合することができた。このRCTの参加者数は3720名(男女両方)で、フィンランド、スペイン、スウェーデン、米国、クロアチア、チリ、タイおよび日本の小児、成人(40歳前後)および高齢者が含まれた。

主な結果

プロバイオティクスを摂取した場合、プラセボと比較して急性URTIのエピソードが認められる患者数が約47%減少し、急性URTIのエピソード持続期間が約1.89日短縮した。プロバイオティクスを摂取した場合、抗菌薬使用および風邪に関連した学校の欠席がわずかに減少した。プロバイオティクスの副作用は軽度で、消化器症状が最も多かった。

エビデンスの質

ランダム化や盲検化が不明確であるなど、不適切な方法で試験を実施したことが主な原因となり、エビデンスの質は低いかまたは極めて低かった。一部の試験試験で用いたプロバイオティクスの製造者から資金提供を受けており、一部の試験サンプルサイズが極めて小さかった。

結論

全体として、急性URTIの予防に対し、プロバイオティクスはプラセボよりも優れていた。しかし、この結論を裏付けるにはさらに試験が必要である。

著者の結論: 

プロバイオティクスは、急性URTIのエピソードが認められた患者数、急性URTIのエピソードの平均持続期間、抗菌薬使用および風邪に関連した学校の欠席についてプラセボより優れていた。この結果は、プロバイオティクスが急性URTIの予防にプラセボよりも有益である可能性を示唆している。しかし、エビデンスの質は低いまたは極めて低い、であった。

アブストラクト全文を閲覧
背景: 

プロバイオティクスは免疫機能の調節によって、健康を促進する可能性がある。プロバイオティクスが呼吸器感染を予防することが、いくつかの試験によって示されている。前回のレビューでは急性上気道感染症(URTI)に対するプロバイオティクスの有益性が示されたが、新たな複数の研究が発表されている。

目的: 

急性URTIのリスクを有するあらゆる年齢の人を対象とした急性URTIの予防におけるプロバイオティクス(特定の株または用量)の有効性および安全性をプラセボと比較評価すること。

検索方法: 

CENTRAL (2014年6号)、MEDLINE (1950年〜2014年7月第3週)、EMBASE (1974年〜 2014年7月)、Web of Science (1900年〜2014年7月)、ならびにChina Biological Medicine Database (1978年〜2014年7月)、Chinese Medicine Popular Science Literature Database (2000年〜2014年7月)およびMasters Degree Dissertation of Beijing Union Medical College Database (1981年〜2014年7月)を含むChinese Biomedical Literature Databaseを検索した。2014年7月31日現在で終了したまたは継続中の試験について、World Health Organization (WHO) International Clinical Trials Registry Platform (ICTRP) およびClinicalTrials.govも検索した。

選択基準: 

急性URTIの予防にプロバイオティクスとプラセボを比較したランダム化比較試験(RCT)。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者がそれぞれ試験の適格性および質を評価し、Cochrane Collaborationが規定する標準法を用いてデータを抽出した。

主な結果: 

13件のRCTを組み入れたが、メタアナリシスに供するデータが抽出可能であったのは12件のみで、3720名の小児、成人(40歳前後)および高齢者の参加者が対象であった。急性URTIのエピソードが認められた患者数(エピソードが1回以上:オッズ比(OR) 0.53; 95% 信頼区間(CI) 0.37〜0.76, P値 < 0.001, 質の低いエビデンス;エピソードが3回以上:OR 0.53; 95% CI 0.36〜0.80, P値= 0.002,質の低いエビデンス)、急性URTIのエピソードの平均持続期間(平均差(MD) -1.89; 95% CI -2.03〜-1.75, P値< 0.001, 質の低いエビデンス)、急性URTIに対する抗菌薬処方率の減少(OR 0.65; 95% CI 0.45〜0.94,中等度の質のエビデンス)、および風邪に関連した学校の欠席(OR 0.10; 95% CI 0.02〜0.47, 極めて質の低いエビデンス)で判断した結果、プロバイオティクスはプラセボより優れていることが明らかになった。急性URTIのエピソード発現率比(率比0.83; 95% CI 0.66〜1.05, P値= 0.12, 極めて質の低いエビデンス)および有害事象(OR 0.88; 95% CI 0.65〜1.19, P値= 0.40, 質の低いエビデンス)で判断した結果、プロバイオティクスとプラセボ効果は同程度であった。プロバイオティクスの副作用は軽度で、消化器症状が最も多かった。一部のサブグループでは異質性が高く、エビデンスの質は低いまたは極めて低いことが統合解析時に明らかになった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.2.28]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
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