急性心血管系イベント患者の短期的および長期的死亡率に対する抗高血圧薬による早期治療効果

著者の結論: 

硝酸塩は、急性心筋梗塞の症状発現から24時間以内に投与した場合、2日目時点の死亡率を低下させる(1,000例あたり4~8例の死亡を予防)。48時間を超えて治療が継続された場合、死亡率への利益を認めなかった。心筋梗塞直後のACE阻害薬の即時投与による2日目時点の死亡率への利益は統計学的に有意性には達していなかったが、その効果は10日目時点で有意となった(1,000例あたり2~4例の死亡を予防)。急性心筋梗塞に対するベータ遮断薬およびカルシウム拮抗薬による即時治療や短期治療は、死亡率への利益をもたらさないとする良好なエビデンスが存在する。

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背景: 

急性心血管系イベントは、治療上の課題となっている。このような状況下にある早期段階では降圧薬が一般に使用されており、推奨されている。本レビューでは、このアプローチについてのランダム化比較試験(RCT)からのエビデンスを解析する。

目的: 

登録時の血圧にかかわりなく、急性心血管系イベントのある患者を対象に、抗高血圧薬の即時および短期投与が総死亡率、総非致死的な重篤な有害事象(SAE)、および血圧に及ぼす効果を明らかにする。

検索方法: 

MEDLINE、EMBASE、Cochrane clinical trial registerを1966年1月から2009年2月まで検索した。論文の参考文献リストも拾い読みした。検索して引き出した論文からの情報が欠けている場合は、著者に問い合わせた。

選択基準: 

急性心血管系イベントの発現から24時間以内に患者に投与された抗高血圧薬をプラセボまたは無治療と比較したランダム化比較試験(RCT)。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが独立にデータを抽出し、バイアス・リスクを評価した。固定効果モデルと95%信頼区間(CI)を用いた。感度分析も行った。

主な結果: 

以下の4種類の抗高血圧薬クラスを評価していた65件のRCT(N=166,206)を含めた:ACE阻害薬(12件の試験)、ベータ遮断薬(20件)、カルシウム拮抗薬(18件)、硝酸塩(18件)。急性脳卒中については6件の試験で検討されていた(すべてCCBを含む)。急性心筋梗塞は59件の試験で検討されていた。後者の場合、即時の硝酸塩治療(24時間以内)によって発現から最初の2日間の総死亡率が低下した(RR 0.81、95%CI 0.74~0.89、p<0.0001)。この時点を超えると、それ以上の硝酸塩治療の利益は認められなかった。ACE阻害薬は2日目時点の死亡率を低下させなかったが(RR 0.91、95%CI 0.82~1.00)、10日目以降で低下が認められた(RR 0.93、95%CI 0.87~0.98、p=0.01)。即時治療または短期治療として投与されていたその他の降圧薬についてはいずれも、2日目、10日目、または?30日目の時点で統計学的に有意な死亡率の低下を認めなかった。急性脳卒中について十分に検討していたデータはなかった。その他の急性心血管系イベントの評価に関するRCTはなかった。

訳注: 

監  訳: 澤村 匡史,2010.2.10

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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