帝王切開後の新生児の呼吸器合併症予防のためのコルチコステロイド剤

論点

予定帝王切開(選択的帝王切開)により37週以降の正期産で、陣痛が始まる前に生まれた赤ちゃんは、経膣分娩で生まれた赤ちゃんよりも呼吸器合併症を発症する可能性が高くなる。分娩前に母体に「コルチコステロイド」と呼ばれる注射を投与することで、34週以前に生まれた新生児の呼吸障害のリスクを減らすことが示されているが、この段階以降に有用かどうかは明らかになっていない。

重要である理由

呼吸器合併症、主に呼吸窮迫症候群と一過性多呼吸のリスクは、妊娠37週から39週の間に減少し、この段階ではリスクが低い。このレビューの目的は、計画的(緊急ではない)帝王切開の前に副腎皮質ステロイドを投与した場合、呼吸器疾患の発生率や特別治療室への入院の必要性を減らすことができるかどうかを調査することであった。

得られたエビデンス

レビューでは、3956人の女性と3893人の赤ちゃんが参加した4件のランダム化比較試験が同定され、コルチコステロイドを通常のケアやプラセボと比較した。母親にコルチコステロイドを筋肉内投与することで、呼吸器系の問題で特別なケアを必要とする赤ちゃんの可能性を減らし、赤ちゃんが新生児集中治療室に入院する可能性を減らすことができるようである。呼吸器系の問題の発生率の違いや、母体と赤ちゃんのために、コルチコステロイドを投与することで生じる可能性のある有害性を確認するためには、より多くの女性の対象者数が必要であろう。

エビデンスの質

含まれているランダム化試験のエビデンスの質は低かった。つまり、帝王切開前の胎内副腎皮質ステロイドのコースに割りつけられた母親の赤ちゃんの治療上の利点について、今後行う試験でも同じ結論が得られるかどうか、完全には確信できない。

結論

出生直後の新生児の呼吸器疾患の予後には、筋肉内投与のコルチコステロイドの有益な効果があることが示唆されている。しかし、長期的な影響を調べた研究が1件しかないことを考えると、リスクがあるのかどうか、その大きさはどうなのか、確信が持てない。帝王切開を受けている女性の一般集団におけるこの介入の短期的・長期的効果を確認するために、より大きなランダム化試験が実施されるべきである。

訳注: 

《実施組織》 小林絵里子、季律 翻訳 [2020.08.28]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD006614.pub.3》

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