外傷を受けた永久前歯の治療のための介入:脱落と再植

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著者の結論: 

利用可能なエビデンスでは、口腔外の歯内治療は60分以上の乾燥時間後に再植した歯にとって有害とはならないことを示唆している。バイアスのリスクが中程度もしくは高い研究は、サイモシンα1への浸漬と硫酸ゲンタマイシン後の高圧酸素が効果的かもしれないことを示している。しかし、それらは脱落歯への介入として、以前に報告されておらず、さらに検証が必要である。バイアスのリスクが低いエビデンスがさらに必要であり、脱落歯の発生頻度が低いことから、共同の多施設臨床試験が望まれる。

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背景: 

歯の外傷は日常的に起こる。最も重い損傷のひとつは、永久歯が口腔から完全に脱落したときである。ほとんどの状況下では、歯は可能な限り早く再植すべきである。再植のために歯にどのような準備をするのが最適なのか、明確ではない。

目的: 

脱落を伴う外傷を受けた永久歯を管理するための、さまざまな介入の効果を比較すること。

検索戦略: 

The Cochrane Oral Health Group’s Trials Register (2009年10月28日まで); CENTRAL (The Cochrane Library 2009, Issue 4);MEDLINE (1950年から2009年10月まで); EMBASE (1980年から2009年10月まで); www.clinicaltrials.gov/; www.controlled-trials.com/ と論文の参考文献リストが検索された。言語は限定しなかった。

選択基準: 

脱落して再植した永久歯への介入を目的としたランダム化比較試験(RCTs)で、少なくとも12か月の追跡期間を含むものだけが検討された。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者が独立にデータを抽出し、臨床試験の質と含まれる研究のバイアスのリスクを評価した。

主な結果: 

合計162名の患者と231歯を含む3つの研究が見つかった。(バイアスのリスクが高い)研究1は、口腔外での歯内治療の効果を調査していた。60分以上の乾燥時間があった脱落歯に対して1週目に行われた口腔内での歯内治療と比較して、エックス線画像での歯根の吸収に有意差が見られなかった。(バイアスが中程度である)研究2は、再植前にサイモシンα1に10分間浸漬し、その後、最初の7日間に毎日、サイモシンα1を歯肉に注入する研究を行った。彼らは48か月時点における強力な効果を報告した(対照群の歯根膜治癒14%に対して実験群77%)。 (バイアスのリスクが高い)研究3は、再植前に実験群、対象群ともに硫酸ゲンタマイシン(4x107 U/L)に20分浸漬し、その後、実験群では最初の10日間、80分間にわたって高圧酸素を毎日使用した研究を行った。彼らは12か月時点での強力な効果を報告した(対照群の歯根膜治癒43%に対して、実験群88%)。有害事象の正式な報告はなかった。