外傷性脳損傷後のアパシーに対する介入

外傷性脳損傷患者の多くがアパシーを経験する。アパシーとは、意欲の低下による目的ある行動の認知的、行動的、感情的要素の低下のことである。目標への取り組みや目標達成に向けての活動、自発性および関心の低下を特徴とする。この疾患は、リハビリテーションアウトカム、自立、仕事および家族の負担に影響を与える。

レビュー著者らは、外傷性脳損傷患者を対象とした、アパシー、またはアパシーの要素の治療に関する試験に対する文献を検索した。アパシーの要素である無気力に対する頭蓋電気療法刺激の使用を検討した、1件のランダム化比較試験を発見した。この治療の有効性に対するエビデンスは、参加者が少数であることおよび頭蓋電気療法刺激治療が偽治療または無治療よりも有効であることを示すための統計解析の不足により、とりわけ限られている。外傷性脳損傷患者のアパシーを有効に治療するための異なった方法を検討するために、より方法論的に厳格な試験を行う必要がある。

著者の結論: 

群間解析が報告されなかったことを考慮し、CES治療群が対照群よりも有意に改善したかどうかを評価することはできなかった。アパシーの要素である無気力に対してCES治療を用いることを裏づけるためのエビデンスは得られなかった。群間統計解析が実施されなかったため、無治療または偽治療に対するCES治療の有効性を評価することはできなかった。治療の有効性に関する結果については推測するしかなく、さらに本エビデンスは症例数の少ない1件の試験にのみ基づいている。異なった方法でアパシー治療を評価したより多くのランダム化比較試験重要であると考えられる。

アブストラクト全文を閲覧
背景: 

アパシーとは、目的ある行動の行動的、感情的、認知的要素の明らかな欠如のことである。外傷性脳損傷(TBI)後に多くみられ、さまざまな影響を伴う。TBI集団を対象としたアパシーに対する介入の有効性を検討した試験のシステマティックレビューを行った。

目的: 

TBIを負った成人のアパシーに対する介入の有効性について検討すること。アパシーの行動、認知、感情測定の変化によって評価した。

検索方法: 

以下のデータベースを2008年1月まで検索した。CENTRAL(コクラン・ライブラリ 2008年、第1号)、Database of Abstracts of Reviews of Effects、ACP Journal Club、MEDLINE(1950~2008年1月)、EMBASE(1980~2008年1月)、PsycINFO(1806~2008年1月)、CINAHL(1982~2008年1月)、PsycBITE、AMED(1985~2008年1月)、www.controlled-trials.com、www.clinicaltrials.govおよびwww.actr.org.au。Cochrane Injuries Group's Specialised Registerは2009年1月まで検索した。加えて、組み入れ基準を満たした試験をさらに同定するため、主要な会議の議事録および組み入れた試験の引用文献の一覧表を検討した。

選択基準: 

特にTBI患者のアパシーを対象とした介入に関するランダム化比較試験(RCT)。

データ収集と分析: 

2名の著者(ALBおよびRLT)が、組み入れのためにそれぞれ試験を評価した。組み入れた試験の方法論的な質を格付けし、データを抽出した。

主な結果: 

本レビューに対する組み入れ基準を満たした1件の試験を同定した。本試験(n = 21)では、頭蓋電気療法刺激(CES)によってアパシーの要素である無気力が減少することが示されたが、偽治療または無治療対照群では変化はみられなかった。群間解析が報告されなかったことを考慮し、CES治療群が対照群よりも有意に改善したかどうかを評価することはできなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.2.27]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
 CD006341 Pub2

Tools
Information
Share/Save