潰瘍性大腸炎および家族性腺腫性ポリポーシスに対する開腹回腸嚢肛門吻合と腹腔鏡下(補助下)回腸嚢肛門吻合との比較

著者の結論: 

腹腔鏡下IPAAは実行可能であり、安全な手技である。腹腔鏡下アプローチの短期的な利点は限られているようであり、その臨床的意義については議論の余地がある。特定の術後合併症、美容、生活の質、費用に関する両治療法の相違に焦点を当てた大規模な質の高い試験が必要である。

アブストラクト全文を閲覧
背景: 

回腸嚢肛門吻合(IPAA)による肛門温存大腸切除術は、潰瘍性大腸炎(UC)患者および家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)患者のための主な外科的治療法である。最小侵襲手術の進歩とともに、このような手術の要求は腹腔鏡下でますます施行されつつある。従って、腹腔鏡下でのアプローチで予測される利益をシステマティックに評価する必要がある。

目的: 

UC患者およびFAP患者を対象に腹腔鏡下IPAAの有益効果有害作用を開腹IPAAと比較する。

検索方法: 

開腹IPAAを腹腔鏡下IPAAと比較したすべての試験について、Cochrane IBD/FBD Group Specialized Trial Register(2007年4月)、コクラン・ライブラリ(2007年第1号)、MEDLINE(1990年~2007年4月)、EMBASE(1990年~2007年4月)、ISI Web of Knowledge(1990年~2007年4月)、American Society of Colon and Rectal Surgeons(ASCRS)のウェブキャスト(2006年まで)を検索した。

選択基準: 

UC患者またはFAP患者を対象に、何らかの腹腔鏡下IPAAを開腹IPAAと比較していたすべての試験。言語に制約は設けなかった。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが独自に試験を選択し、データを抽出した。バイアス・リスクを評価するために、対象とした全試験の方法論の質を評価した。ランダム化比較試験(RCT)および非RCTの解析は別々に実施した。解析はITTの原則に基づいた。欠損データがある場合には、著者に追加的な情報を要請した。適切な場合は、感度分析とサブグループ解析を行った。

主な結果: 

11件の試験で607例の患者が含まれており、うち253例(41%)が腹腔鏡下IPAA群であった。選択された試験のうち1件のみがランダム化比較試験であった。2群間で死亡率や合併症に有意はなかった。再手術率や再入院率にも有意はなかった。手術時間は、RCT、および複数の非RCTのメタアナリシス(重み付け平均差(WMD)91分、95%信頼区間(CI)53~130)ともに、腹腔鏡下群の方が有意に長かった。術後回復パラメーターに関して2群間で有意はなかった。総切開長は腹腔鏡下群の方が有意に短く、美容を評価した2件の試験では腹腔鏡下群で美容スコアが有意に高いことが見出された。その他の長期アウトカムの報告は不十分であった。

訳注: 

監  訳: 吉田 雅博,2009.5.13

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

Tools
Information
Share/Save