手術前の膵胆道系悪性腫瘍患者におけるステント留置を伴うまたは伴わない内視鏡的逆行性胆道膵管造影法

著者の結論: 

膵管胆道悪性腫瘍患者の死亡率に対する内視鏡的胆管内ステント留置を支持するまたは否定する説得力のあるエビデンスは見出せなかった。術前胆管内ステント留置に関する疑問を解決するために、大規模なランダム化試験が必要である。

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背景: 

悪性腫瘍による膵管胆道狭窄に対して膵十二指腸切除術を施行した患者の術後合併症発生率および死亡率は高い。アウトカム改善のために、術前の胆管内ステント留置と内視鏡的逆行性胆道膵管造影法(ERCP)の併用を含む様々な方法が試みられている。

目的: 

悪性腫瘍が確定した、または疑われる膵管胆道狭窄に対する術前のERCPによる胆管内ステント留置の有益作用および有害作用を評価する。

検索方法: 

Cochrane Hepato-Biliary Group Controlled Trials Register(2006年10月)、コクラン・ライブラリ(2006年第2号)のCochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINE(1950年~2006年10月)、EMBASE(1980年~2006年10月)およびScience Citation Index Expanded(1945年~2006年10月)から試験を同定した。また、発表された論文中の参照文献を検索し、ステント製造業者に手紙を書いた。

選択基準: 

膵胆道系悪性腫瘍に対する術前のERCPと胆管内ステント留置の併用と胆管内ステント留置を伴わないERCPとを比較したランダム化試験

データ収集と分析: 

2名のレビューアが独自に試験の選択およびデータの抽出を行った。主要な術前、術後、および最終のそれぞれのアウトカム指標は死亡率であった。副次的アウトカムは、胆管炎、膵炎、出血、膵瘻、腹腔内膿瘍などの合併症、ビリルビンの改善、および生活の質であった。二値アウトカムは、固定効果モデルおよびランダム効果モデルに基づくオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)で報告した。

主な結果: 

膵頭十二指腸切除術を施行した患者125例を対象とした2件のランダム化試験を同定した。術前に、患者62例はERCPと胆管内ステント留置との併用、患者63例は胆管内ステント留置を伴わないERCPが施行されていた。術前死亡率のステント留置よる影響は有意ではなかったが(OR 3.14、95% CI 0.12~79.26)、ステント留置群の方が合併症は有意に多かった(OR 43.75、95% CI 2.51~761.8)。ステント留置は、術後死亡率に対する有意な効果はなかった(OR 0.75、95% CI 0.25~2.24)。しかし、術後合併症はステント留置群の方が有意に少なかった(OR 0.45、95% CI 0.22~0.91)。全死亡率(OR 0.81、95% CI 0.17~3.89)および全合併症(OR 0.50、95% CI 0.01~23.68)は、2群間で有意はなかった。

訳注: 

監  訳: 吉田 雅博,2007.10.5

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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