多嚢胞性卵巣症候群における男性型多毛症、ざ瘡、ならびに糖尿病、心血管疾患および子宮内膜癌リスクに対するインスリン抵抗性改善薬と経口避妊ピル配合剤の比較

著者の結論: 

OCPによる最大12ヵ月間の治療は、メトホルミンよりも月経パターンおよびアンドロゲン血清値を改善させる。しかし、メトホルミン治療の結果、OCP治療よりも空腹時インスリン値が低下し、トリグリセリド値が低かった。これら2薬剤の副作用の背景は異なる。糖尿病、心血管疾患、子宮内膜癌の発現などの重要な臨床的アウトカムに関するデータは極めて限定的であるか、全く存在しなかった。メトホルミン以外のISD薬剤(ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、D-chiro-イノシトールなど)とOCP(単剤または配合剤)を比較したデータはない。

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背景: 

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性患者に対してインスリン抵抗性改善薬(ISD)は、経口避妊ピル(OCP)よりも安全で有効な長期治療薬としての可能性が最近、提唱されている。PCOS患者に対する長期治療によるISDの有効性と安全性をOCPと直接比較することが重要である。

目的: 

PCOSの臨床、ホルモン、代謝の所見を改善させためのISDの有効性と安全性をOCP(単剤または配合剤)と比較評価する。

検索方法: 

Cochrane Menstrual Disorders and Subfertility Group Trials Register(2005年9月)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL(Ovid)、2005年第3四半期)、MEDLINE(1966年~2005年9月)、CINAHL(1982年~2005年9月)およびEMBASE(1988年~2005年9月)を検索した。同定された論文の参照文献をハンドサーチし、その後追加された関連する研究については、さらに製薬企業と当該分野の専門家へ問い合わせた。

選択基準: 

ISDとOCP(単剤または配合剤)を比較しているランダム化比較試験

データ収集と分析: 

2名のレビューアが独自に行った。

主な結果: 

解析に6件の試験を含め、うち4件(参加者104例)ではメトホルミンとOCPを比較しており、2件(参加者70例)ではOCPとメトホルミンの併用をOCP単独と比較していた。限定的なデータから、メトホルミンとOCPとの間で男性型多毛症およびざ瘡に対する効果を示すエビデンスは明らかにされなかった。糖尿病、心血管疾患、子宮内膜癌の発現を予防する上でのメトホルミンまたはOCP(単剤または配合剤)の相対的有効性に関するデータはいずれも不十分またはデータがなかった。月経パターンの改善について、メトホルミンはOCPよりも有効ではなかった(Peto法によるオッズ比(OR)0.08、95%CI0.01~0.45)。メトホルミンは、投与中止を必要とする重度の胃腸有害作用の発現頻度が高く(Peto法によるOR7.75、95%CI1.32~45.71)、胃腸以外の重度有害作用の発生率は低かった(Peto法によるOR0.11、95%CI0.03~0.39)。メトホルミンは、アンドロゲンの血清値の低下にあまり有効ではなかった(総テストステロン:重み付け平均差(WMD)0.54、95%CI0.22~0.86;遊離アンドロゲン指数:WMD3.69、95%CI2.56~4.83)。メトホルミンは、OCPよりも空腹時インスリン値の低下(WMD-3.46、95%CI-5.39~-1.52)、トリグリセリド値の上昇(WMD-0.48、95%-0.86~-0.09)に有効であったが、空腹時インスリン値やコレステロール値の低下についての相対的効果に関するエビデンスは不十分であった。

訳注: 

監  訳: 吉田 雅博,2008.1.11

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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