癌に対するレートリル(アミグダリン)療法

レートリルとは、左旋性(laevorotatory)の接頭語とマンデロニトリル(mandelonitrile)を合わせた単語であり、半合成の形態のアミグダリンである。アミグダリンは、桃、ビターアーモンドやアプリコットなど多くの果実の種子から単離される化合物である。レートリルとアミグダリンはいずれも、共通の構造成分であるマンデロニトリルを持ち、シアン化物を含有する。

レートリルの有効性が得られていないこと、またシアン化物の中毒による副作用のリスクにより、米国食品医薬品局(FDA)および欧州委員会によりその使用が禁止となった。しかし、インターネットで、レートリルまたはアミグダリンは購入が可能である。米国・欧州市場で政府による規制が実施されていないことから、レートリルまたはアミグダリン製剤は信頼性のない供給者により販売されている可能性もあり、また不純物が混入している可能性もある。特にレートリルまたはアミグダリン経口摂取後に、シアン化物中毒による重大な副作用の発現リスクが高いことを癌患者に伝えるべきである。ビタミンCとの併用、またビタミンB12が欠乏している菜食主義者による服用により、重大な副作用の発現リスクは増加する可能性がある。

このシステマティク・レビューでは、効果があるとされているレートリルまたはアミグダリンの癌患者に対する治癒効果について、信頼できるエビデンスが得られていないことが確認された。

著者の結論: 

レートリルやアミグダリンには、癌患者に有益な効果があるという主張は、現在は健全な臨床データによる裏付けが得られていない。レートリルまたはアミグダリンは、特に経口摂取後に、シアン化物中毒による重症な副作用が発現するリスクがかなり高い。このため、レートリル、アミグダリンのリスク・ベネフィットに関するバランスは、癌治療薬としては明らかにマイナスである。

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背景: 

レートリルは半合成化合物の名前であり、アミグダリンとの化学的な関連があり、アプリコットやその他さまざまなサクラ属の種子から得られるシアン配糖体である。レートリルとアミグダリンは、癌治療のためのさまざまな名称で販売促進されているが、有効性に関するエビデンスは得られていない。シアン化物中毒の可能性があるため、レートリルは危険である可能性がある。

目的: 

レートリルとアミグダリンで謳わる抗癌効果と副作用の可能性を評価する。

検索方法: 

以下のデータベースを検索した:CENTRAL(2014年、第9号)、MEDLINE(1951年~2014年)、EMBASE(1980年~2014年)、AMED、Scirus、CINAHL(1982年~2015年よりすべて)、CAMbase(1998年~2015年)、MetaRegister、米国試験登録簿(National Research Register)、また独自のファイルを検索した。対象とした研究およびレビュー論文の参照文献一覧を検討し、追加の研究に関する情報については、当該分野の専門家に問い合わせた。時間範囲や言語の制限は設定しなかった。

選択基準: 

ランダム化比較試験(RCT)および準RCT。

データ収集と分析: 

治療にレートリルまたはアミグダリンを試験する研究について、8件のデータベースおよび2件のレジスタを検索した。2名のレビューアが、選択基準により論文を選別・評価した。

主な結果: 

200本以上の参考文献を検索し、63本は初回レビューで、また6本は2011年に評価しており、今回のアップデートでは評価していない。しかし、その選択基準を満たした研究は認められなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.2.27]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
 CD005476 Pub4

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