甲状腺機能亢進症に対する中薬(中医学の薬草療法) 

甲状腺機能亢進症は、過剰な甲状腺ホルモンが血液中を循環する一般的な疾患である。甲状腺機能亢進症に罹患すると、特に心拍数上昇、温かく湿った皮膚、体温上昇などに悩まされる。中国では、このような症状の治療に多数の中薬(中医学の薬草療法)が使用されている。参加者1770名を対象とした13件の関連試験を解析した。いずれの試験も質の低い試験であった。死亡率、健康に関連した生活の質、経済的な転帰、またはコンプライアンスについて解析した試験はなかった。一部の中薬は症状、甲状腺機能および有害な作用の改善に有効であった。残念ながら、検討した103種類の中薬の中から特定の処方を推奨する信頼できるエビデンスを有する試験をみつけることができなかった。

著者の結論: 

この結果は、甲状腺機能亢進症患者への通常治療に中薬を追加した場合、治療効果がある可能性を示唆している。しかし、方法論上の限界があるため、甲状腺機能亢進症の治療に対する中薬の効果を示す強固なエビデンスを得るための、デザインが優れた試験を特定できなかった。したがって、現時点ではいかなる処方も臨床使用に推奨できない。

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背景: 

甲状腺機能亢進症は、過剰量の甲状腺ホルモンが血中を循環する疾患である。甲状腺機能亢進症患者では、特に頻脈、温かく湿った皮膚、体温上昇などが顕著である。甲状腺機能亢進症の治療には、対症療法、抗甲状腺薬療法、放射性ヨウ素、甲状腺摘出術などがある。中国をはじめとする国々では、甲状腺機能亢進症の治療に薬草が単独または抗甲状腺薬と併用して用いられている。

目的: 

甲状腺機能亢進症の治療に対する中薬の効果を評価すること。

検索方法: 

MEDLINE、EMBASE、The Cochrane Library、the Chinese Biomedical Databaseのコンピュータ検索によって試験を入手した。

選択基準: 

中薬単独の場合と、中薬を抗甲状腺薬、放射性ヨウ素またはその両方と併用した場合の効果を比較したランダム化比較試験

データ収集と分析: 

3名の著者が、関連があると考えられるすべての研究試験著者に電話で問合せを行い、ランダム化の手順を検証した。1名の著者がデータ抽出フォームにデータを入力し、別の1名の著者がデータ入力結果を確認した。

主な結果: 

参加者1770名を対象とした13件の関連試験を組み入れた。いずれの試験も質の低い試験であった。試験著者と連絡が取れなかったため、52件の試験をさらに評価する必要がある。いずれの試験でも、死亡率、健康関連QOL、経済的なアウトカムおよびコンプライアンスについて解析していなかった。抗甲状腺薬と中薬を併用した場合、抗甲状腺薬単独の場合よりも再発率低下、有害作用の発現率低下、症状緩和、抗甲状腺抗体のステータスや甲状腺機能の改善に有益な可能性がある。2件の試験では中薬と放射性ヨウ素を比較検討し、不安、頻脈および暑さへの不耐性の改善が報告された。しかし、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の回復を除いて、甲状腺機能に大きな変化は認められなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.1.20]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
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