閉経後の骨粗鬆症の予防と治療のためのラネリック酸ストロンチウム

著者の結論: 

閉経後骨粗鬆症の女性に対する骨折(脊椎、程度は少ないが脊椎以外)の減少および骨粗鬆症を伴うまたは伴わない閉経後の女性に対する骨塩密度の増加について、ラネリック酸ストロンチウムの有効性を支持するシルバーレベルのエビデンスがある(www.cochranemsk.org)。1日2gのラネリック酸ストロンチウムの服用で下痢が生じることもあるが、研究中止に至る有害事象は有意に増加しなかった。血管および神経系の副作用の可能性については、さらに調査する必要がある。

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背景: 

ラネリック酸ストロンチウムは骨粗鬆症に対する新しい治療であるので、その利益および有害性を知る必要がある。

目的: 

閉経後の骨粗鬆症の治療と予防についてラネリック酸ストロンチウムの有効性と安全性を判定する。

検索方法: 

MEDLINE(1996年~2005年3月)、EMBASE(1996年~2005年第9週)、コクラン・ライブラリ(1996年~2005年第1号)、関連論文の参考文献リストおよび過去2年間の学会大会論文集を検索した。その後追加されたデータを著者に求めた。

選択基準: 

閉経後女性を対象にラネリック酸ストロンチウムをプラセボと比較し、骨折罹患率、骨塩密度、健康関連QOLまたは安全性について報告している1年間以上にわたるランダム化比較試験(RCT)を含めた。治療(と予防)集団は、一般的な脊椎骨折および/または腰椎の骨塩密度Tスコア<-2.5SDの女性と定義した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが独自に研究の適格性を判定し、試験の質を評価し、関連するデータを抽出した。意見の相違は合意により解決した。ラネリック酸ストロンチウムの用量および治療期間によってRCTをグループ化した。可能な場合はランダム効果モデルを用いてメタアナリシスを行った。

主な結果: 

4件の試験選択基準に適合した。3件は治療集団(ラネリック酸ストロンチウム1日0.5から2g)を対象とし、1件は予防集団(1日0.125g、0.5gおよび1g)を対象とした。治療集団において、3年間にわたるラネリック酸ストロンチウム1日2gにより脊椎骨折が37%減少(RR0.63、95%CI0.56、0.71)、脊椎以外の骨折が14%減少(RR0.86、95%CI0.75、0.98)したことが示された。治療および予防の両集団において2~3年後にすべての骨塩密度測定部位で骨塩密度が増加していた。より低用量のラネリック酸ストロンチウムはプラセボよりも優れ、最高用量で脊椎骨折が最も減少し、骨塩密度が最も増加していた。2gのラネリック酸ストロンチウムで下痢リスクの増加が認められた。しかし、有害事象治療中止リスクの増加にも重篤な副作用である胃炎や死亡リスクの増加にも影響を及ぼさなかった。その後追加されたデータから、3~4年間にわたってラネリック酸ストロンチウム1日2gを内服することによって、血管および神経系の副作用リスクが多少上昇することが示唆されている。

訳注: 

監  訳: 林 啓一,2008.1.11

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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