新生児肺出血に対するサーファクタント

肺への出血(肺出血)は主として正期産(妊娠37週)前の出生児に起こり、その原因は、重度の肺疾患[特に、肺の内面を覆う正常な化学物質(サーファクタント)の欠如により起こる呼吸窮迫症候群]と呼吸器(補助呼吸)の必要性である。肺出血のリスク因子には、早期産、子宮内の発育不良(子宮内発育不全)、呼吸器疾患、肺の血管周囲の血流異常(動脈管開存症)、出血性疾患(凝血異常)、人工呼吸器の必要性、サーファクタント投与などがある。肺出血の根本の原因は、動脈管開存症による肺血流の急速な増加であると考えられている。数件の研究により、肺出血を起こした新生児の治療において、サーファクタント投与による有望な結果が示されている。しかし、本レビューでRCTを同定しなかった。現在、臨床行為に対しRCTに基づいた推奨を示すことはできない。さらなる研究が必要である。

著者の結論: 

PHでのサーファクタントの効果を評価したRCT、準RCTを同定しなかった。したがって、そのような試験による結論を出せなかった。RCTに比べて厳格性の低いデザインの研究による有望な結果からみて、新生児PHの治療に対するサーファクタントのさらなる試験を実施する根拠はある。

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背景: 

1960年代および1970年代において、肺出血(PH)は基礎疾患のある満期新生児に主として発症し、出生1,000につき1.3の罹患率であった。PHのリスク因子として、疾患の重症度、子宮内発育不全、動脈管開存症(PDA)、凝血異常、補助呼吸の必要性などがあった。現在PHは、しばしばPDAがあり、かつサーファクタント投与を受けた重度の呼吸窮迫症候群(RDS)で呼吸管理を受けている早産児の3~5%に発症する。PHの原因は、肺内圧の急速な低下によりPDAを介する左右シャントが促進され、肺血流が増加することによると考えられている。後向きの症例報告および1件の前向きの対照群のない研究により、PH治療でのサーファクタントによる有望な結果が示されている。

目的: 

PH新生児における死亡率および罹病率に対するサーファクタント投与の効果を、プラセボまたは無介入と比較評価すること。

検索戦略: 

今回の更新では、コクラン・ライブラリ2012年第2号、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、Clinicaltrials.gov、Controlled-trials.com、Annual Meetings of the Pediatric Academic Societies (Abstracts2View)の抄録(2000~2011年)、Web of Scienceを2012年2月8日に検索した。

選択基準: 

挿管中の満期および早期産(37週未満)のPH新生児でのPH治療において、サーファクタントの効果を評価しているランダム化または準ランダム化比較試験(RCT)。妊娠44週までの出生児を組み入れた。検証した介入は、サーファクタント(天然または合成、用量を問わず)の気管内注入とプラセボまたは無介入との比較であった。

データ収集と分析: 

文献検索により研究を同定した場合、計画した解析は、二値アウトカムに対するリスク比、リスク差、効果をもたらすための治療必要数または害を発生する治療必要数、連続アウトカムに対する平均差、およびそれらの95%信頼区間であった。メタアナリシスには固定効果モデルを用いた。選択した試験のバイアスリスクを評価した。I2統計量などの異質性検定を実施して統合するデータの適切性を評価し、結果を報告した。

主な結果: 

同定した試験はなかった。

訳注: 

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