早産児・低出生体重児の間欠的な経管栄養に対するプッシュ注入と重力による注入との比較

レビューの論点

経管栄養を受けている早産児または低出生体重児において、重力を利用した栄養注入(訳注:イルリガートルのようにシリンジを垂直方向にぶら下げた場合)と比較して、プッシュ注入(訳注:シリンジをもちいて押す圧力で注入する場合)では有害事象(低酸素飽和度、低心拍数、完全な吸上げまでの時間)が増加するか。

背景

早産児(37週以前に出生した児)は、吸啜、嚥下、呼吸の調整ができず、経管栄養が必要となる場合がある。その場合には、鼻や口から胃の中にチューブを入れて、栄養を与えることになる。間欠的な栄養の注入(訳注:24時間の持続注入ではなく、3時間ごとなどの授乳を指す)は、シリンジを使って母乳やミルクを乳児の胃の中に静かに押し込むことで行える(プッシュフィード)。また、チューブに取り付けたシリンジにミルクを注ぎ、重力で滴下させる方法もある(グラビティフィード)。

研究の特徴

検索は2020年7月時点での最新情報である。今回のアップデートでは、1件の研究(乳児31人)を対象とした。

主な結果

間欠的な経管栄養を必要とする早産児または低出生体重児、あるいはその両方において、重力による注入法と比較してプッシュ注入を用いることで、有害事象を増加させることなく、より迅速に完全経管栄養を確立できるかどうかを示すエビデンスは不十分である。

エビデンスの確実性

早産児または低出生体重児(2500g未満)を対象に、プッシュ式注入と重力式注入の間欠的経管栄養を比較したランダム化試験のエビデンスは、実践に役立てるには不十分である。

訳注: 

《実施組織》 小林絵里子、 冨成麻帆翻訳[2021.10.21]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CDCD005249.pub3》

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