女性の分娩入院時における間欠的なモニタリングと分娩監視装置(CTG)による胎児心拍の電子的なモニタリングの比較

論点

ローリスク妊娠の健常女性が分娩病棟に入院する際、分娩監視装置(CTG)または、収縮後1分間の胎児心拍数(FHR)の聴取は、母親およびその赤ちゃんのアウトカム向上につながるか?

重要である理由

FHRのモニタリングは、赤ちゃんの健康をチェックする最も一般的な方法の1つである。 FHRを監視する最も一般的な2つの方法は、胎児聴診器、トラウベ(特殊なトランペット型装置)、ハンドヘルドドップラー超音波装置(間欠的聴診法として)、または赤ちゃんの心拍数と母親の子宮収縮を印刷するCTGと呼ばれる電子胎児モニタリング(EFM)である。

入院時CTGは、通常、女性が分娩の徴候で分娩病棟に入院したときに行われるFHRと子宮活動の記録をする、短い、通常20分の一般的な検査である。 分娩中に酸素欠乏症に冒される可能性が最も高い児を識別するために、入院時CTGは導入された。 これらの赤ちゃんは、継続的なEFMによってより集中的に監視されるか、または帝王切開による分娩のような即時介入の有益性を受ける可能性がある。

どのようなエビデンスが得られたか?

分娩病棟への女性の入院時に行われたFHRの間欠的な聴診と入院時CTGを比較した。 2016年11月30日までのエビデンスを検索したが、この更新されたレビュー(以前は2012年に公開)に関する新しい研究は見つからなかった。 このレビューは4つの研究を含み、まだ完了していない1つの研究がある。含まれている研究(英国とアイルランドで実施)には、ローリスク妊娠の13,000人以上の女性が含まれた。3つの試験は、病院によって資金提供され、1つの試験はスコットランド政府によって資金提供された。

入院CTGに割付けられた女性は、間欠的な聴診に割付けられた女性よりも帝王切開の可能性が高かった(中等度のエビデンスの質)。器械的経腟分娩の数(低いエビデンスの質)、分娩中または直後に亡くなった赤ちゃんの数(中等度のエビデンスの質)は、2つのグループの女性の間に差はなかった。 入院時CTGは、連続EFM(赤ちゃんの頭皮に電極を装着させる)の使用(低いエビデンスの質)や、分娩中の胎児の血液サンプリング(乳児の頭皮から採取した少量の血液サンプル)の増加に関連していた。 人工破膜、分娩促進、硬膜外麻酔の使用、酸素欠乏による赤ちゃんの脳への損傷(非常に低いエビデンスの質)、または出生直後の赤ちゃんの痙攣または発作(低いエビデンスの質)など測定された他のアウトカムに差はなかった。 1歳以上の脳または中枢神経系の発育および発達に重大な問題が発生したかを報告した研究はなかった。

意味するもの

多くの病院は、分娩で病院に入院の際、女性にCTGを実施しているが、ローリスクの妊娠女性に、何らかの有益性があるというエビデンスは見つからなかった。 入院時CTGは、帝王切開の女性の数を約20%増加させる可能性があることがわかった。

対象となった研究には、入院時CTGや間欠的な聴診が赤ちゃんを安全に保つのが良いかどうかを示すのに十分な女性は含まれていなかった。 しかし、赤ちゃんを安全に保つのにより良いことを示す研究は、非常に大規模になるだろう。 このレビューに基づくと、入院時CTGを実施されるローリスクの妊婦は、帝王切開をより受けやすいかもしれない。 入院時CTGを受ける女性の利益は確かでない。

含まれているすべての試験は、先進西欧諸国で行われた。レビューの結果は、非常に異なる国の人々や異なるFHRモニタリング方法が使用されている人々にとっては有用でないかもしれない。しかし、入院時CTGを使用している国は、入院時CTGの使用には明確な利点がなく、帝王切開を受けやすくなるという害を女性に及ぼす可能性があるため、なぜ実施するかを疑問視するべきである。

著者の結論: 

臨床分野で実践され続けていることとは対照的に、分娩で入院するローリスク女性に対する入院時CTGが有益であるという根拠は見出されなかった。

さらに、入院時CTGは帝王切開率を約20%増加させる可能性がある。データは、周産期死亡率に関する重要な違いを見出すのに十分なデータはなかった。しかし、いかなる試験やメタアナリシスでも、そのような差異を見出すのに十分な検出力を与えられるとは考えにくい。このレビューの結果は、ローリスク女性の分娩入院時におけるCTGを行わないことを推奨している。入院時CTGは有益性の根拠がなく、帝王切開の発生率増加と関連している可能性があることを女性に情報提供すべきである。

データの不精確さ、結果の非一貫性、研究参加者と職員の盲検化の欠如に基づく判断によりダウングレードされ、エビデンスの質は中程度から非常に低い。4つの試験はすべて、先進西欧諸国で実施された。さらに1つの試験が進行中である。

途上国に対するこのレビューの結果の有用性は、FHRモニタリングの実践に依存する。しかし、入院時CTGに関連する有益性の欠如と可能性のある害は、入院時CTGの役割について問われている国には関連があるだろう。

入院時CTGの効果を検証する将来の研究は、分娩の徴候が認められた女性や、分娩の正式な診断の前の女性を含めて考慮すべきである。これには、一般的に入院時CTGを受けており、現在の試験には含まれていない女性集団が対象となる。

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背景: 

入院時の分娩監視(CTG)は、母親の分娩病棟への入院時に行われる胎児心拍数(FHR)と子宮活動の短い(通常20分)記録からなる一般的なスクリーニング検査である。これは2012年に公開されたレビューのアップデートである。

目的: 

分娩病棟入院時にリスク因子のない妊婦の母児のアウトカムについて、入院時の分娩監視装置とFHRの間欠的聴診の効果を比較すること。

検索方法: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2016年11月30日)を検索し、 検索された論文の参考文献リストの検討を計画した。

選択基準: 

分娩中の胎児低酸素症のリスクが低いと考えられた妊娠37〜42週の妊婦に対し、入院時CTGとFHRの間欠聴診を比較した、全てのランダム化および準ランダム化試験。

データ収集と分析: 

2名の著者が個別に、試験の組入れ基準と質の評価、データの抽出を行った。データの精度の確認を行った。

主な結果: 

今回のアップデートでは、新たな試験の組入れはなかった。分娩期にある女性を含み、英国とアイルランドで実施された13,000人以上の女性を対象とした4件の試験が含まれた。病院が資金提供した3件の試験と、スコットランド政府が資金を提供した1件の試験があった。2つの試験で利益相反ないとされ、残りの2つの試験では利益相反の申告は行われなかった。全体として、研究はバイアスのリスクが低いと評価された。2012年のレビューで報告された結果が変わることはなかった。

厳密なP <0.05の基準を用いて統計学的に有意ではなかったが、入院時CTGに割付られた女性は、平均して、間欠的聴診に割付られた女性よりも帝王切開率上昇の確率が高い(リスク比(RR)1.20 、95%信頼区間(CI)1.00~1.44、4試験、11,338人の女性、I2 = 0%、中程度のエビデンスの質)というデータで一致していた。入院時CTGに割付られた女性と間欠的聴診に割付られた女性の比較で、器械的経腟分娩(RR 1.10、95%CI 0.95~1.27、4試験、11,338人の女性、I²= 38%、低いエビデンスの質)、 周産期死亡(RR 1.01、95%CI 0.30〜3.47、4試験、11,339人の児、I²= 0%、中程度のエビデンスの質)について、対象となった試験全体を通じて平均治療効果に明らかな差はなかった。

入院時CTGに割付られた女性は、間欠的聴診に割付られた女性よりも、平均して、分娩中の連続電子胎児モニタリング率(RR 1.30,95%CI 1.14〜1.48,3試験、10,753人の女性、I²= 79%、低いエビデンスの質)と 胎児の血液サンプリング率(RR 1.28、95%CI 1.13〜1.45,3試験、10,757人の女性、I 2 = 0%)が高かった。低酸素虚血性脳症の発生率および重症度(発生率のみの報告)(RR1.19、95%CI0.37〜3.90、2,367人の児、1試験、非常に低いエビデンスの質、新生児発作の発生率(RR 0.72,95%CI 0.32〜1.61、8,056人の児; 1試験;低いエビデンスの質)を含む他の副次評価項目について、2群間で差はなかった。12カ月以上を対象に評価された重度の神経発達障害について報告されたデータはなかった。

訳注: 

《実施組織》増澤祐子翻訳 重見大介監訳 [2017.2.14]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクラン日本支部までご連絡ください。 なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review、Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
《CD005122》

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